33.鑑定してもらおう
最近、学校での透華と美鈴の距離感がおかしい。
「…透華、眠いの?」
「んん…6時間くらいしか寝れてないから…」
そんな風に話す2人はかなり距離感が近い。
具体的に言えば…今は美鈴が透華を膝の上に乗せて、髪をいじっている。
ただ、それを指摘する人間はこのクラスにはいない。
…とっくに慣れて、癖や常識を完全に曲げられてしまったからである。
「……なんか…距離感近くない?」
他クラスからやってきた莉央が2人にそんな風に言う。
「…そうかな?」
「…そう?」
美鈴と透華は揃って首を傾げた。
莉央は肩を竦めた。
…もう付き合っちゃえば良いんじゃない?
リンは肩を竦めた。
ライカとベルカは鑑定をしてもらおうと、リンのギルドが運営している商店に訪れていた。
「……これなんだけど」
ライカがしれっと出したのは見たこともない小さな石材だった。
リンは鑑定用の道具を使い、それを見る。
そして、驚いた。
『β-13-D』
ベータテスト時代のバグアイテムはかなり高く売れるものだ。
「……どこでこれを?」
リンはそう聞く。
「…なんか…ゴミを圧縮したら、できた」
?????
リンにはさっぱり理解できなかった。
「まぁ…これは良いわ。で、こっちも見れば良いの?」
リンは机に置かれた黒い刀を見て、そう聞いた。
ライカが頷いたので、リンは鑑定する。
『ヒヒイロカネの狩刀』
ガタッ
リンはその場に崩れ落ちた。
それもそのはず。『ヒヒイロカネ』と言えば大和エリアでは極めて高い知名度を誇る素材である。
かくいうリンも実物を見たのは初めてで、色が黒いことすら初めて知った。
「………………この『ヒヒイロカネの狩刀』は…絶対、貴女が持っていた方が良いわ。ところで…どこで見つけたの?これ」
あまりにリンが驚いているためにライカは若干引きつつ、答えた。
「ん…と…拾った。新居に落ちてたの」
リンは驚愕した。そしてベルカを若干睨みつけた。
…あんた、監督役でしょ?もっとこう…ちゃんと管理してあげなさいよ!
その目にベルカは申し訳なさそうに肩を竦めた。
「………良かったら、今度その新居に招いてくれない?」
リンはそう言う。
「あ…えっと、良いよ?」
「で、それはさておき、とりあえず『β-13-D』に関しては買い手を探しておくわ。買い手が付き次第呼ぶから、来て」
リンはそう言った。
「わかった……その、ありがと」
ライカは小首を傾げ、ぎこちなく笑った。
……これは…たしかに膝に乗せたくなるな…
リンはそう納得した。




