16.見て、学んで
ガチャリ。
「あ、待っててくれたの?」
髪を下ろしているお風呂上がりの美鈴が嬉しそうに笑った。
「……別に」
透華は顔を逸らして、そう言う。
美鈴は気にしないと言った様子で透華の隣に座った。
「透華、もっとジルコニアで強くなりたい?」
「…別に?」
透華は小首を傾げ、そう言う。
…本当は強くなりたい。
…そして褒められたい。
美鈴はVRゴーグルを持ち、そしてPCモニターの電源をつけた。
「もう…仕方ないね。じゃあ、見たいのなら見るって感じでやろう。そこのキーボードでメッセージを打てば私のところに飛んでくるから、良かったらメッセージ送ってね」
美鈴はジルコニアにインした。
透華はモニターでベルカ視点を見ている。
「おーい、見えてるー?」
美鈴…ベルカはモニター越しにそう言う。
『見えてる』
透華はそう送信した。
「いえーい」
ベルカは自分で見える位置でピースサインをする。
『…強くなるための何かをするんでしょ?早くやったら?』
「あ、そうだった。ごめんね〜」
ベルカは歩き出した。
しばらくベルカは透華と会話しながら歩く。
次第にちょっとした要塞のような場所が見えてきた。
『あれ、何?』
「ん?あー…私のお城〜。定期的に外に荒らしが張り付いてるから、狩っててさ〜」
さも当然かのようにそう言う。
『そうなんだ』
要塞の近くには馬に乗った、たくさんの荒くれ者達がいた。
遠くて分かりにくいものの、そのうちの一人がベルカの方を向き、指を差した。
荒くれ者達がベルカの方へ向かってくる。
「…ちゃんと見ててね」
そう小声でつぶやき、日本刀を構える。
『わかった』
ドッドッドッドッ
数は18。一番前の男は旗を掲げながら、叫び、向かってくる。
ベルカは心を整えているようで、小さな呼吸音しか聞こえてこない。
次の瞬間、ベルカは跳んだ。
男は目を大きく見開き、次の瞬間、首が吹き跳んだ。
ベルカは男の乗っていた馬の上に立ち、まるで八艘跳のように続けて馬に乗りこんで、次々と敵を狩った。
その動きは軽やかで、透華は…自分では理解できていないものの、見惚れてしまった。
全員を狩り、馬から飛び降り、日本刀をシュッと振り、鞘へ戻した。
そして、大きく息を吐く。
「ね、どうだった?」
『…別に。普通』
「ふふっ…そっか〜」
その夜、ベルカはいつもより早めにログアウトし、美鈴は透華の小さい身体を抱き枕のように抱擁し、眠った。
明日は普通に学校である。
…制服どうしよう。
透華は若干の息苦しさを感じつつ、そう思いながら瞼を閉じた。




