選択された奴隷達 家
車の外から流れる風の音がその場所へ向かっていることを伝えていた。
まるで、拒まれているかのような轟音だ
頼むからビビらせないで欲しい
そんなにやばいのかよ
頼むから行き切らせてくれ、
「はぁ……」
決心なんてものもついていないままじゃ
こうなるとはわかってたけどさ…
ナビは相変わらず、くねった一本道を表示するだけだった
イラついてくる。
「てめぇ、それしか道がねぇってどういうことなんだよ。」
ナビからの返事もないし
道は暗いが不気味な木は見えるし
怯えている俺にも嫌悪感を感じるし
なんなんだよこれ
人工的な道路が突然途絶え、森に繋がる道に繋がっていた。
急だな。
入りたくないな。
樹が大きい。
杉の木というやつだろうか
それがぎっしりと生えた森だ
すごいな。
圧巻だ。
道の周りにその木がどっしりと構えていて
ナビはこの道の奥を示していた。
こんな森に何があるというのか。
微かに揺れる車体
その不気味さに凍える思いだ
でも足はアクセルを踏んでいる
ふぅ……はぁ……
いやだ…もう帰りたい
これさ
絶対普通の道じゃねぇんだよな
おお…なんか見えてきたし……
何この綺麗な家……
もう ヤバイって フラグってやつじゃねぇか
そこには、一階建の家があった、屋根はなく
小さいが、なかなか広々としていて、素材は
木材、焦茶の塗装もしている。
正面玄関に柵があり、小さな階段まであった
これに入ったら未来が結末を迎えそうだ。
もちろんナビを見る
終わってやがる。
これに入るの?まじ?
いや…まて…死んだら償いとか意味がなくなる
ここは引き返した方が良いはずだ。
「……」
俺は車から降りた。
多分行った方が良い。
けど……本当に……良いのか……
いや、自分に問うこと自体が間違いだ。
自分が間違っているんだから。
玄関に繋がる、短い階段の方へと向かう。
車のライトが外の暗闇を一段と引き立てて
怯んでしまう自分…どうしょうもないと思う自分
相変わらずどちらも嫌いだ。
はは…なんかバカに見えてくるよな…自分が
階段の方へとやってきた。
階段に足をかける
が
怯む心は全面的に怯える一方だ。
足をかけて、離して かけて 離して
くそったれ。
目を閉じて…
怯える心に問いかける、
愚かになるように、祈りを込める。
お前はバカだ、何も考えるな、
お前はバカだ、怯える必要がない事に怯えている
行ったらどうだ…これくらい
「ふぅ……」
長く息を吐き
心が無になる瞬間を狙って、ドアをこじ開け、
身を委ねるだけだ。
あとは勝手に踠くだけだ。
よし……
よし…
勢いで、階段を登り切り、ドアの前で、停止した
もう一度…
目を閉じて、息を吸って、長く息を吐く
「すぅーーふぅーーー」
目をつむって ふと
思い出されるのは、親を裏切り続けた心の
闇とも腹黒いとも似つかない…滑稽な自分の姿
弟も姉も兄に対しても、いつも、
めんどくさかった。
死にかけていたのに、泣くことすら、面倒だった
でも自分を嫌える
どこまでも動物的だった俺の過去。
お前なんざ…
死んじまえ…
目をこじ開け勢いを乗せてドアを開ける。
ドアを開けた瞬間
目が見開いた。
目の前に映った光景、まずは光だった
そしてその先には
点けっぱなしのモニターが出迎えていた。
「え」
あたりは目を凝らしても見えぬほど暗く
その中央に
パソコンの画面が光を放ち、訪れる誰かを待っていた




