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49 母の入院

だめだ...

今はこれ以上考えられない...


今の私に必要なのは、やはり心の休息だ。

まだ精神がノーマルな状態ではないのだ。


こんな時に無理して考えることは避けなければならない。


特に神についての話は混乱してしまう。


本当の神ならすべてご存知なので、分かってくれるはずだ...



PM10:20


突然電話が鳴った。

父からだった。


嫌な予感...


「ああ...父さんだ...お母さんなあ...


入院することになった...


心配いらない、ただの検査入院だから...


めまいが長引くので病院を変えて、もう一度詳しく検査することになったんだ。


担当の医師からめまいの専門病院を紹介されて、詳しく検査することになったから...


検査のために通うのは、お母さん大変だから少し入院してじっくり見てもらうことにしたから...」


「いつ?

いつ入院するの?」


「明日の午前中、父さんもしばらく病院で寝泊まりすることになったから...


何も心配することはない...ただの検査入院だから」


「....分かった...お母さん今どんな感じ?

あれからずーっとめまい続いてるの?」


「ずーっとじゃないとは思うけど...


お母さん、大丈夫しか言わないから...


目はあまり開けなくなってる...


検査の結果がわかればまた電話するから...

心配することないからな、分かったな...」


「うん...」


電話を切った。

それ以上、私も聞かなかった。


悩みはいつも合わせ技でやってくる。

ひとつのことだけを悩ませてはくれない。


窓を開けて外の空気を部屋に入れる。


落ち着くんだ...

落ち着くんだ...


ただの検査入院なんだ....


あの看護師さんに言われた心の癖のことを思い出す。


なんでも自分のせいにしてしまう私の心の癖。


私が心配かけたから母があんなことになってしまったんだと考えてしまう...


でも、たとえそうであったとしても、考えないようになりたい。


私はこのメンタルの病から何も学べていない...


何も前進していない...


そんなことを考えていたら、

嫌な気配がしてきた。


だめだ...

だめだ...


またあの地面にめり込んでいく感覚になってきた。


変なスイッチが入ったようにいきなり手が震えてきた...


今回のは徐々に震えてくるいつもの感じではない...


危険な感じが押し寄せてくる。

恐怖心が抑えられないレベルまで襲ってきそうだ。


いつもとちがう...

怖い、、怖い、、



薬...薬...


ポシェットの中の薬を取ろうとするが、手が震えてしまってうまくファスナーがつまめない。


手の震えが大きくなって、過呼吸が始まった。


どうすることもできない。


薬さえ飲むことが出来れば..,


もう一度、震える両手でポシェットを挟むように掴んだ。


ファスナーのつまみ部分を口で咥えて開けようとしたが上手くできない...


机の引き出しに大きめのハサミがあったのを思い出す。


ハサミを取り出したが、手が大きく震えているので指が入らない。


早くしないと...

焦ってしまい、何もかもうまくいかない。


仕方なく両手でハサミを握って、そのままポシェットに突き立てて穴を開ける。


それをくり返して、少し大きくなった穴からやっと薬を取り出すことができた。


急いで薬を口に入れた時、震えが小さくなってきた。


まだ薬は口の中にある。

まだ飲み込んでいない。


そのまま飲み込まずにじっとしていたら震えが止まった。


その時、はっきりと理解した。

恐れが私を支配していたのだと。


薬が飲めると思った途端に震えが止まったこの体験は、私のこれからの生き方の大きなヒントになっていった。


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