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43 心の芯

でも神の声を聞くって実際にそんなことあるのだろうか?


私の知り合いの中にはひとりもいない。


老人が世界中の人が聞いたと証言していると書いていたことが頭をよぎる。


信じる信じないというより、私自身がニ度も実際に聞いたのだ。


体験したのだ。


他の人が同じ体験していてもおかしくはない。


あの老人は死んでしまってもう話はできない。


誰でもいい、神の声を聞いたという人がいたら、会って話を聞いてみたい。


「あの...

看護師さんのお知り合いの方で、私やあの老人のように何かの声を聞いたことがあるという方いますか?」


「ごめんなさい...直接何かの声を聞いたという人はいないと思います。


ただ、私がこの仕事をしていて、不思議に思うことがいくつかあります。


声を聞くというのとは違うけど、今までに街中で、胸骨圧迫の必要な人に偶然会って、その場で処置をして息を吹き返したという人が7人いました。


一般的には心臓マッサージと呼ばれています。

7回とも不思議なんです。


普段私が通る道ではないところでの出来事でした。


後で考えてもわからないのです。

何故あの時、あの道をわざわざ通ったんだろうと...


看護師とはいえ、人生で7回も路上で心臓マッサージする事態に偶然遭遇するでしょうか?


私の体験は神の声を聞いたというのとは違います。

でも、何かの導きのようなものがなければ説明できません。


別のある日、酔っ払いの男の人が顔を真っ赤にして、道に倒れていたのです。


右手をあげて、何やら叫んでいました。呂律が回らないようで、誰も相手にせず見て見ぬふりです。


酔っ払いなので、私も通り過ぎました。

しばらく歩くと、手を引っ張られるような感じがしたのです。


もちろん誰も引っ張ってはいません。

酔っ払いの人の方向からのものでした。


私はその人の元に近寄り、顔を覗き込んだのですが、アルコールの匂いは全くありませんでした。


脳出血か脳梗塞で血圧が上昇していて、顔が赤くなっていたのです。


そのため呂律が回らなくなっていることに気がつきました。


男性は必死で右手で助けを求めていたのです。


しかし、その様子は誰が見ても酔っ払いにしか見えませんでした。


すぐに救急車を呼んで差し上げたのです。


一分一秒を争う事態でしたが、すぐに手術が行われその方は今も元気にしておられます。


私はあの時の、手が引っ張られるような感覚を忘れることが出来ません。


神がそれをされたのかどうかは私には分かりませんが、そのようなことは実際にいろんなところで起きています。


説明は出来なくても、現実は現実です。


あなたにことばが聞こえたのなら、神かどうかは私には分かりませんが、理由があるはずだと私は思いますよ。」


看護師さんの体験を聞かせてもらっていると、私たちのこの人生は見えない導きの上に成り立っているのだと思えてくる。


私の生活に起こるいろんな出来事が本当に偶然ではないとすれば、その出来事に対してちゃんと解釈して応答してゆきたい。


紅茶を頂きながら、母のメニエールの事を考えていた。


母の気分悪そうにしているのを見るのは私も辛い。


もし、母の病気にも意味があるのなら、その意味を理解して、解決の道を知りたい。


もし、この世界に神がいるとしても、手の内をすべて見せることはしないだろうと思う。


多分人間である私達が自分の意思で決定し、行動する事を待っているのではないだろうか?


そんな気がしていた...


ここに来て良かった...


私は部屋に入ってくる海風に顔を向けながら、ももちゃんを抱きしめていた。


看護師さんは私が何かを掴んだと思ったようで、

「うん...うん...」

と頷いていた。


回り道でも遠回りでもいい。


私は私らしく、自分の心に芯を持って歩いてゆきたい。

何かが掴めそうな気がしていた...


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