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第149話 三人の絆

お母さんは子どもたちの様子を優しく気にかけている。


その姿は本当に美しかった。


子どもたちは母親の愛情をたっぷり受けて育っている。


見ている私まで幸せな気持ちになる。


私は新鮮な感動を覚えていた。


それだけではない。


私たちにも細やかな気遣いをしてくれる。


優しい笑顔で、


「私、このアールグレイが大好きなんです。


お味はいかがですか?」


と尋ねてくれた。


彼女は、


「とても美味しいです」


と答えた。


「よかった」


お母さんは嬉しそうに微笑む。


私は頷くだけだった。


まだ、その光景に心を奪われていた。


お母さんが、


「あの、お二人のことも少しお伺いしてもよろしいですか?」


と尋ねた。


彼女は静かに話し始めた。


「はい。


私たち二人とも、いろいろな問題を抱えていました。


そんな時、


お隣の奥さんのお母さんが助けてくださったんです。


私たち二人の命の恩人なんです」


「命の……恩人?」


「本当です。


命の恩人です。


今は看護師さんをされています。


お父様のお話を聞かせていただいている時、


なんだか、その看護師さんと似ていると思っていました。


看護師さんには、私たちはどれだけお世話になったかわかりません。


守っていただかなかったら、


私は今頃どうなっていたかわかりません。


今すべてをお話しすることはできませんが、


私もDVを受けていました。


看護師さんが助けてくださったのです。


安全を確保していただき、


今も守っていただいています」


「……そうだったんですか」


お母さんは静かにうなずいた。


彼女は続ける。


「はい。


実は看護師さんと娘さんは、


いろいろな事情があって連絡が途絶えていました。


最近になって、


連絡がつかないことがわかって、


とても心を痛めておられるんです。


それで、


何とか力になりたくて、


私たち二人で娘さんを探そうと考えたんです。


看護師さんの力になりたいんです」


思わず私も口を開いた。


「私もです。


看護師さんには、


言葉では言い表せないほどお世話になっています。


今もです。


看護師さんは、


私たちの命の恩人なんです。


大袈裟ではありません」


「そうだったんですか……。


お話を聞いていると、


本当に看護師さんと私の父、


どこか似ていますね」


私は続けた。


「看護師さんは、


ボランティアもされています。


『メンタルの会』と言って、


心の問題を抱える人たちのお世話をされています」


「すごい方なんですね。その看護師さん。


それで、お二人が娘さんを探されていることは、


ご存じなんですか?」


「はい。


知っています。


『神の子どもたちに任せる』


と言ってくださいました」


「えっ!


神の子どもたち?……」


隣に座っていた彼女が、


思わず吹き出した。


三人の間に、


不思議な笑いが広がった。


私は真面目に話していたつもりだった。


それなのに、


自分まで笑ってしまう。


アールグレイに手を伸ばしながら、


私も笑っていた。


いつか彼女に話すように、


このお母さんとも、


敬語ではなく話せる日が来たらいい。


そんなことを、


私は静かに願っていた。

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