第134話 そんな約束 破ればいい!
*第119話
「忘れられない言葉」のつづき
第134話
「そんな約束、破ればいい!」より
月明かりは静かに海を照らしていた。
私たちは誰も口を開かなかった。
三人とも黙ったまま、
夜風に身を任せながら、イルミネーションのように淡く光る海面を眺めていた。
すると突然、看護師さんが両手を口に添えて、
「わぁーーっ!」
と大きく叫んだ。
私は驚いて肩がビクッと跳ねる。
その声につられるように、
さっきまで俯いていた彼女も、
「わぁーーっ! わぁーーっ!」
と、二度続けて叫んだ。
ももとカールも驚いたように看護師さんの足元まで来ると、
示し合わせたように並んで座り込んだ。
私は少し迷った。
でも、やってみようと思った。
息を吸って、
「わっ……」
彼女が吹き出した。
「なに、それ……?」
看護師さんも笑いながら、
「お上品なこと」
と言う。
私は子どもの頃から、
「声が小さいね」
と何度も言われてきた。
大きな声の出し方が分からない。
もう一度やってみた。
「わーっ」
やっぱりあまり変わらない。
看護師さんは笑いながら、
「笑ってごめんね」
と言って、また笑った。
彼女も笑顔で、
「あんたらしい。それでいい」
と言った。
そして、
「もも、おいで」
と声をかける。
ももは嬉しそうに跳び上がり、
彼女の胸に飛び込んだ。
ももを抱きしめると、
彼女は少し言いにくそうな顔になり、
ひと呼吸おいて口を開いた。
「私……
ずっと謝りたい人がいるんです。




