魔力も満腹度も、すべてが枯渇!
看守は、腕を組みながら、後ろにいる仲間に、
「どうだ?なにかでたか?」
「いいや……何も出ない」
「ってことは?」
「あぁ、ただの変な女の子だ……まだ若いのにな」
看守二人の憐みの目がサリーに降り注ぐ。
「いいか、お前を調べさせてもらった結果、
犯罪歴なし、前科もなし、奴隷の届け出もなし。よって、釈放だ」
「ご飯?」
「違う」
「釈放だ」
「……」
しょんぼり肩を落とすしかなかった。
看守が、凛とした声で、
「それと、よく聞け。今度から裸で門を通ろうとするな。
服は、必ず着る。裸なんて……そのうち事件に巻き込まれるぞ」
「……」
「返事は?」
「わん?」
「いや、人間の言葉で」
「……はい」
「よし!」
看守は続けて、
「腹が減ったなら働け。働けば飯は食える。お前の言う、ミルクだって飲める」
「うん、ミルク大事!」
「ただし、犯罪に手を染めるな。盗むな。騙すな。人を傷つけるな。
真面目に働け。そうすれば、この国は飢え死にするような国じゃない」
私は少しだけ考え、
「……働けばミルク?」
「ああ。働けばミルクだ」
看守は苦笑いで答えているが、私は真剣な顔で、
「従魔として働いてましたけど!おかしいよね?!
いっっつも約束破るの人間じゃん!」
ぐぅぅぅぅぅ……盛大に腹が鳴る。
「……はぁ?まぁ、いい、ちょっと来い。そして後ろを向け」
「??」
「ほら……鑑定タグは外した。その服はやるから釈放だ」
「ん?ありがとう?でも、でも、人間として働くにしても、昨日からご飯食べてない!!
今日の分は、先払いでもいいと思うんですけど!」
「……なんかお前このまま放り出したら、盗みか、行き倒れになりそうだな……」
看守のあきれた声が聞こえるが、そんな事よりご飯だ!
「お腹すいたよぉ」
「ほら」
「え?」
私は差し出された紙袋を受け取り開くと、
ハムと野菜の挟まったサンドイッチ、そして、小さな瓶に入ったミルク。
「ミ、ミルク!!」
看守を見ると少し照れくさそうに、頬をポリポリ掻きながら、
「俺の昼飯だ。今回だけだぞ!次からは自分で働いて食え」
(いい人だ)
「いただきます!!」
ゴクッ。
ゴクッ。
「ん~~~~っ!おいしぃ~~!!ミルク最高~~幸せぇ~~!」
続けてサンドイッチにもかぶりつく。
あっという間に平らげると、満面の笑みで叫んだ。
「タダ飯さいこぉぉぉ!!」
ゴンッ!!
私の頭に看守の拳骨が落ちた。
「いたぁっ!」
「『タダ飯』とか言うな!」
「これは俺の昼飯だ!感謝して食え!」
「ご、ごめんなさい……」
看守は腕を組み、真剣な表情で言った。
「いいか。働いて食う飯は、もっと美味い。
タダ飯なんかより美味い!だから真面目に働け」
「タダ飯よりおいしい?」
「そうだ」
「ん〜そうかな?今までも働いていたけど、
でもなぁ?そこまで美味しかったかな?」
看守は苦笑しながら、
「汗水垂らして働け!今度は裸で来るなよ」
「わかった、服は着る!」
「おじさん、ありがとうね~とりあえず犬に戻れないけどがんばるよ~」
ぶんぶんと手を振りながら、消えていく少女を見送りながら、看守はつぶやく
「まだ犬とか言ってるのか……困ったやつだな。まぁ、二度とここに来ないことを祈ってやるよ」




