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来ちゃったよ!60階

そして、60階ボス。

そこにいたのは、まさかの竜だった。

「60階ボス、竜……一気に強くなるな」

「この子白竜だ!最悪〜弱すぎじゃんかよぉ」

「ハハハハハ、白竜が弱い子?!

知らなかったなぁー白竜、最強説は何処ですか?

サリー、お前の強い竜の色は?」


「んー虹!」


「伝説でも聞いたことない色?!

黒だろ?白が弱いなら黒だろ?」

「黒も強いけど、金の方が上だよ」

「金か~俺、昔話でも聞いたことないよ?」


「グレン!ブレスくるよ!」

「あぁぁ、わかった。任せておけ」

とりあえず、1発入れてみますか!


がぎぃぃぃいぃんんんんんん


かた!硬い!60階ボス1体目でこの硬さ、

さすが60階、1体目からこの強さ


「サリー、1体目の白竜、倒すのに4撃必要だったぞ!

強いって、昔話でも出てこない金とか虹なんて絶対会いたくない。

50階の4体目と5体目を飲むか」


「グレン、魔髄1本私に頂戴」


「へっ?えっ?あっ……サリー!ごめん。

お前もそうだよな」

「うん、魔髄飲みたい」

「ごめん、俺ばっかり飲んで。この3本全部飲んでいいよ!」


「1本でいいよ。とりあえずどんな感じか、知りたいから、これ50階?60階?」


「渡したのは50階の4体目だ。5体目は3撃かかってる」


「60階のちょうだい」

「いいのか?4体目じゃなくて?」

「うん。このダンジョンの強さ知りたいから」


ゴクゴクッ、プハァー


「はぁぁ、だめじゃん、ここのダンジョン! 時給以下の敵しか出せねークソダンジョンじゃん!」


「時給以下って……」


グレンは呆れながら、魔髄を見る。


「俺、激痛だぞ?なんで、どうして、

サリーは何ともないんだ?」

「グレン、ダメだ。これじゃーダメなんだよ」

「え?」

「もっと強くならないと、魔髄タイムが終わっても、深淵への冒険には行けない。

私の魔力も、まだ溜まってない。これで深淵行ったら、グレン死んじゃうよ」


サリーは、埋めたおもちゃが見つからなくて悲しんでる犬のような目でグレンを見た。

その言葉を聞いた瞬間、グレンは思い出した。

そうだよ、サリーは魔力を借りたら、

記憶を失う。

自分が痛いとか、もう嫌だとか、そんなことを言っている場合じゃない。


「サリーは……記憶がなくなるんだよな。

頑張れ、俺!」


そして、残った2本を飲み、激痛の波を2度ほど味わい60階、2体目の白竜へ向かってボス部屋へ挑戦。


「ハァッ……!」

剣を振り抜き、今まで魔髄を飲んだ後は一撃で倒していたボスが、

しかも2本連続で飲んだのに、倒れない。


グレンは地面を蹴り、白竜の懐へと一気に踏み込むと、身体を捻りながら剣を横薙ぎに振り抜く。


2撃目


だが、白竜は倒れない。


「まだだ……!」


グレンはそのまま踏み込み、返す刃で3撃目を叩き込むと、今度は白竜の硬い肌に僅かな傷が走り、そこから赤い血が滲んだ。


「くっ……!」


4撃。


剣を振り抜いても、白竜は僅かに身体を揺らすだけで、その場から退こうともしない。


「……っ、まだ」


5撃を超えた。


今までなら、とっくに倒れているはずだった。


「くそっ!」


グレンは腰に手を伸ばして回復ポーションを取り出すと、一気に飲み干し、荒くなった呼吸を整えながら再び剣を握り直した。


「まだだ……!」


6撃目を叩き込み、続けざまに7撃目を振り抜くが、白竜はその巨体を僅かに揺らしただけで、鋭い眼光をグレンへ向けたまま倒れる気配を見せない。


今までとは明らかに違う。

グレンの背中に冷たい汗が流れた。


「なんだよ……こいつ……!」


8撃目を叩き込んだ瞬間、白竜が身体を捻り、グレンの剣を弾くように、前脚を振り抜いた。


「ぐっ!」


咄嗟に腕で受けるが、凄まじい衝撃が走り、攻撃を受けた腕が痺れる。


「ハァ……ハァ……!」


息が上がり、身体がだんだん重くなっていくが、止まるわけにはいかない。

グレンは痺れた腕を無理やり動かし、再び剣を握り直した。


「グレン、回復!最終形態の前にトドメささないとめんどくさいよ」

「分かってる、ハァ……ハァ」


回復ポーションを再び飲み干すと、白竜へ向かって駆け出した。


9撃。

10撃。


白竜の身体を斬り裂くたびに血が飛び散るが、強い光とともに

「グレン、そのエフェクト、最終形態!強さ変化したから気を付けて!」


「ぐっ……!」


11撃

12撃

剣を振り抜いたグレンは、荒い呼吸を繰り返しながら白竜を睨みつけた。


「嘘だろ……ハァ……ハァ……これ……白竜最強説あるよ。弱い子なんかではない」

白竜は傷だらけになりながらも、まだ立っている。


自分の身体は反対に限界を訴えてきていた。

腕は重く、足も思うように動かず、呼吸をするだけでも胸が苦しい。

それでも、グレンの心は諦めない。


「うぉぉ、サリーが記憶を失うくらいなら、こんなところで、負けられるかぁぁぁ!」


ポーションを飲み、最後の一撃を叩き込むため、グレンは剣を構え直した。

狙うは、ただ一点、白竜の首。

魔力はあくまでも補助。

身体の力を最大限に引き出しながら、静かに腰を落とし、乱れている呼吸を整える。


白竜がグレンへ向かって踏み込んだ瞬間、グレンも同時に地面を蹴る。


《天断烈破》


一閃。


グレンの剣が白竜の首を捉え、その巨体が大きく揺らいだ。

次の瞬間、ズルリと白竜の首が落ち、巨体が地面へと崩れ落ちる。

グレンはその場に膝をついた。


「……はぁ……はぁ……なんだよ……急に強くなりすぎだろ……」


握った剣を支えにしながら、グレンは倒れた白竜を見つめる。


「グレン、今で白竜2体目……あと8体……」


「……残り8体もいるのか……サリーさん、俺もう……

くっそ!いいや!頑張れ俺!ボスの強さが跳ね上がることは知ってる!

よし、よしヨシヨシ!はいはいはいはい!飲むぞぉおおおお」


もう覚悟を決めるしかない。

一気に自分でテンションを上げ、


「いける。行けるぞぉおお!俺はいけるぞ!」


「グレン、待って!」


「大丈夫大丈夫!分かってるって白竜の1体目だろ、飲むのは」


そして、そのまま飲み干した。


「グレン」

「ん?」

「とうとう覚悟を決めたんだね!」


覚悟とは?

サリーさんなんで、そんな嬉しそうなんだい?

ん?待って俺今、どっち飲んだ?


「サ、サリー」

「うん?」

「俺……今……」

「うん、最後の飲んだね!」


グレンの顔から血の気が引いた。


その瞬間――


「ぐっ……!」


身体の奥から、凄まじい熱と痛みが駆け抜ける。内蔵をブチブチと破るような感覚。

内側から力が溢れ出ようと暴れる。


「がっ……あああああああっ!」


身体中が引き裂かれるような感覚に、グレンはその場に崩れ落ちる。


「グレンーーーー」


サリーの声が遠くなる。

痛い。

熱い。

呼吸が出来ない。

頭の中をかき混ぜないでくれ、むき出しの神経を踏みつけられ

内臓が暴れる――


あっ、痛みがない、また、これか、

ふっと、目の前が真っ白になった。

そして、あの白い部屋にいたが、

今回は桜の木の下にテーブルがあり、

綺麗な女性は優雅にお茶を飲んでいた。


「あらあら、本当に来たの?

ふふ、私の美しさに会いたくなったのかしら?ダメよ、そんな無理しちゃ」


「いや、会いたくてきたわk……」


そこで、グレンはビシッと固まった。

なんとなく、その先は言ってはいけない。

勝手にきただけと告げたら、かなりヤバいと警報が鳴り、静かに従う。


「勝手に会いに来てすいませんでした。戻りますね」

「私と契約しますか?」

「契約ですか?あーいや、自分は貪婪の焔と契約してるので」

「誰ですか?貪婪?あー、あの下級の出来損ない」

「なんかサリーといい、あなたといい、別次元すぎて……

俺には貪婪の焔がいいです。たくさん助けて貰っています。

いい契約していますよ」


何故か、いつもよりスラスラと言葉がでる。

ピシッ。

女性の持っていた扇子が、真っ二つに割れた。


「あなた、聞いたことないの?」

「何をですか?」

「女の前で、他の女の話をするべからず」


ヒッ!どうして女性の笑顔がこれほど怖いのだろう?

魂が凍る。


サリー、俺、そっちに戻りたい



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