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鑑定結果は普通、でも俺の相棒は普通じゃない

ギルドでの登録を終えたサリーとグレンは、

今回の騒動の詫びとして、

副ギルド長にギルド併設のカフェへ案内されていた。


サリーはというと――


「ミルク!!」


運ばれてきたミルクを両手で抱え、

ご機嫌そのものといった笑顔で、ごくごくと飲んでいる。

その姿を横目に、副ギルド長はグレンへ向き直った。


「先程は本当にすまなかった」

「あぁ、問題ないというより、本人が気にしてないしな」


グレンが視線を向けると、当の本人は鼻歌でも歌い出しそうな勢いで

ミルクを飲み続けていた。

副ギルド長は苦笑を浮かべる。


「そう言ってもらえて助かる。

しかし……提示された情報は、普通だったな……」

「あぁ、普通だった。レアスキルも奴隷所有者の刻印もなし。

……サリーが何者なのかわからないままだな」

「全裸で服よりご飯を優先したくらいか」

「…………」


たった一日しか一緒にいないというのに、

ドラゴンを二、三匹討伐した後のような疲労感が

グレンの全身にのしかかっていた。

副ギルド長はそんなグレンを見て、小さく息を吐く。


「……それで、グレン。これからどうする? 

お前が育てるわけにもいくまい」


その言葉に、ミルクを飲んでいたサリーが勢いよく顔を上げた。


「大丈夫!グレンに飼ってもらうから!」

「ぶふっ!お、おまえ! そういうことを大声で言うな!」

「わん!」

「なぜ……犬になる……」


グレンは額を押さえ、大きくため息をついた。


「はぁぁぁ……もう、お前が魔物だったって言われた方が、

ある意味気が楽だったかもな」

「グレン、その子結構変わってるのか?

いや……全裸の時点で相当変だが」

「あぁ、兎に角衛生面が壊滅的だ。

玄関で寝るし、風呂を嫌がる。下着や靴下をいらないという」


副ギルド長は、グレンの話を聞きながら

ミルクを嬉しそうに飲んでるサリーを見て

(まるで犬だな……)と、

真実を言い当てていたが、グレンの次の一言で

かき消された。


「はぁぁ、ドラゴン退治が恋しいよ」


心の底から漏れたその一言に、

副ギルド長は思わず同情の眼差しを向け、

サリーは勢いよく立ち上がる。


「グレン、ドラゴン退治行くの!?

私も頑張るからね!」

(ドラゴンのお肉~最高じゃん!

2、3回食べたことがあるけど

グレンならきっと採れたてをくれる

っていうか、今しゃべれるやん!!

この体、案外便利かもぉぉぉぉぉ)


きらきらと目を輝かせるサリーに、

グレンは遠い目をしたそのとき、

ギルドの隅からチンピラ風の冒険者二人がずかずかと近づいてくる。


「おいおい、ここはいつから保育園になったんだぁ〜」

「ギルドで騒ぐなら外でやれよ、子供の遊び場じゃね~んだよ」


(えぇぇ?まさかの今から定番イベント?!

管理者ぁぁぁ……!!

こういう時くらい便利な展開用意しろよぉぉぉ……!

レアイベントこなした後、モブキャラとかいらねぇぇ)


「騒がしくしてすまない」グレンは謝罪の言葉を出すが

「それだけかよ?メリッサさんに迷惑かけておきながら。

そのチビがどうせ迷惑かけたんだろ!」


(ん?メリッサ?誰だろ?

それよりイベントキャンセルできないかな?埋めるか?

埋めるにしても魔力Cなら……ん?あれ?魔力C?

あれ?《穿天》は使えるのか?

ずっと使えないままなんてないよね?)

サリー、顔色がさっと青くなった。

そして過保護になりつつあるグレンは、

それを見逃さなかったが、別方向で捉えた。

(怖がらせたか!)


「謝罪はした。これ以上揉めるなら――」


グレンは一気に殺気を膨らませ、相手にたたきつけた。


「くっ……」


殺気に気圧され、冒険者は一歩下がる。

だが次の瞬間――


「グレン!!行こう、ダンジョン!」


「えっ?」


「「「…………」」」


副ギルド長はぽつりと呟いた。


「お前さん、大した玉だな……今その発言ができるって、凄いよ」





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