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第47話 全てが揃うまで

「なるほど、未来の科学力を信じるわけか。いいアイデアではあると思う」


 先輩は何か含みのある言い方をした。


「ただ、君と津宮椿さんが掘り当てた2000万とは訳が違う。そんなに大量の財宝を見つけて換金すれば、国や警察に目をつけられる。届け出ないわけにはいかない。しかし届け出れば、最低でも六か月の公告期間が発生する。それまで柿森さんの命が持つかどうか……」


 本当は宝を掘り当てたら国に報告しないといけないのか……。

 その時間は考えていなかった。だが。


「信じます」

「……それしかないな。私は無神論者だが、祈ろう」


 どちらにせよ信じるしかない。

 そもそも宝石病の薬ができるのかもわからない状況なのだ。


◆ ◆ ◆


 俺は金塊を掘り当て、警察に届け出た。

 ちょっとしたニュースになったが、そんなことはどうでも良かった。


 お金が手に入るまでの半年間は普通に高校生をした。

 攻略本とかどうでもよく、津宮さんとバイトしたり遊びに行ったり、鵜川先輩の受験勉強のストレス発散に付き合ったり。


 柿森さんとは彼女がやってみたいと言ったことを沢山やった。

 ほぼ余命通りといった様子で、半年後にあたる12月になっても命はあった。

 体力の衰えがはっきり分かるようになっていて、学校も休みがちではああるが、あの明るさは決して消えなかった。弱音すら吐かなかった。


 そんな日々を過ごしていると金塊の所有者が現れなかった旨の連絡を受けた。

 発見した山の所有者と折半にはなったが、莫大な資産を手に入れることは成功。

 元宝石病研究者の御剣さんを通して、日本宝石病学会に全額寄付。宝石病に対する新薬の開発が始まることになった。


 その翌日、ゴミ捨て場に見たことがないデザインの段ボール箱が置いてあった。


 家に持ち帰り開けると、沢山の錠剤……宝石病治療薬とその説明書。

 そして未来の俺からの手紙が添えられていた。


『拝啓 過去の俺

 この手紙を読んでいるということは、過去への宝石病治療薬の転送が上手くいったことを指しているはずだ。一応中身の薬が無事かどうかも確かめて欲しいが。

 薬を贈ったのは本来の歴史の世界の俺じゃないことは分かっているだろう。ここは津宮さんと鵜川先輩は助かり、柿森さんだけが助からなかった歴史を辿った俺だ。

 過去の俺は、未来の俺を使い潰すことを選択した。そうするしかなかったと俺も分かってはいるが……それでもやるせない。

 関門があることは分かってる。

 でも、必ず上手くやれ。絶対に柿森さんを救うんだ。』


 手紙はそこで終わっていた。

 

 これであらゆる技術的な問題は突破した。

 だが、一つだけ障害がまだ残っている。


 柿森さんにこの薬を飲ませることだ。


 彼女と、半年間一緒に過ごしてきて分かった。

 死ぬことを完全に受け入れてしまっている。

 そんな彼女の生きたいという気持ちを再起して、薬を飲ませる。


 それがこの高校生活をハッピーエンドで終わらせるための最後のイベントだ。

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