第2話 Timeless Days 完全攻略ガイド
攻略本――このご時世ではレアなゲームを攻略するための本。
レトロゲームもやるとはいえ令和高校生。ゲーム好きとはいえ、流石に持ってない。
俺はこの『Timeless Days 完全攻略ガイド』のページを捲っていく。
二ページ目からはキャラクター紹介のようだ。
津宮椿。
鵜川須美。
柿森海香。
三人が紹介されている。
その内容は以下の通りだった。
誕生日。
血液型。
身長。
体重。
3サイズ。
趣味。
好きなもの。
嫌いなもの。
特技。
住所。
各SNSのURL。
キャラの性格。
それが表のようになっており簡単にまとめられている。
「す、すげえ」
本としての出来が凄いからだろうか、思わず感嘆してしまう。
そしてキャラクター紹介の次は、『メインストーリー攻略』と銘打たれている。
ページを思わず捲りたくなるが……留まる。
「そもそもこの本は一体何なんだ……?」
興奮のままに中身を読みたくなったが、この『Timeless Days 完全攻略ガイド』は一体何なのかをはっきりさせないといけない気がした。
俺はこの本の正体について、一つの期待を抱いてしまっている。
仮にその期待が的中してしまうと、無暗にページを捲った行為が後々後悔することになりそうだからだ。
期待……この世界がギャルゲー世界なんじゃないのかと。
俺はゴミ捨て場から本を持ち去ることが良くないことだと分かりながら『Timeless Days 完全攻略ガイド』をリュックにしまい、足早に家へと帰った。
◆ ◆ ◆
自宅に帰って来た。
手洗いうがいを済ませて、俺は自室ではなく姉貴の部屋へと向かう。
勝手に入るな! と言われているが今日は入る。
なるべく痕跡を残さないようにして、姉貴の本棚を漁る。
「あった」
ギャルゲーの攻略本、それと一応乙女ゲーの攻略本も持っていこう。
それだけを拝借して、俺は自室へと戻った。
リュックを適当に置いて、勉強机に座る。
まずはこの本が何なのか調べたい。
スマホを取り出して、『Timeless Days』を検索。
引っかかるのは知らない曲やアイドルグループ。
柿森さんや、知らない二人の女子たちも出てこない。
『Timeless Days ゲーム』や『Timeless Days 攻略』、『Timeless Days 中古』などでも一応検索をかけてみるが、何も出てこない。
同人ゲームの可能性も考慮して、専門性の高い通販サイトなどでも調べてみるが、特に引っかかるものはない。
それなら、キャラクター名で調べてみる。
例の攻略本らしきものに書かれる三人の女子と関りのあるようなものは出でこなかった。
これらの検索から導き出される説は――。
「頭のおかしいやつが柿森さんをヒロインの一人にして書いた攻略本風の何かか……それともこの世界がギャルゲー世界で、天からもたらされたものか」
この二択になるんじゃないだろうか。
「次は……比較してみよう」
俺は姉貴の部屋から持ってきた二冊の攻略本(ギャルゲー、乙女ゲー)と比べてみることにする。
表紙にはゲームのタイトルとロゴ、キャラクターが書かれるのは共通してる。
内容は、とりあえず目次だけ比べてみよう。
ゲームシステム。
キャラクター紹介。
シナリオチャート。
などなど、大筋は似通っているように思える。
「それじゃあ、やっぱりこれは攻略本なのか……?」
そうなってくると気になるのは、この世界がギャルゲー世界なのかどうか。
手元に置いた『Timeless Days 完全攻略ガイド』を見る。
描かれている柿森さんは、どう記憶と照らしてみても隣の席の美少女。
リアルとしか思えない。
「……でも、どうやってこの世界がギャルゲー世界だと特定する?」
頭のおかしいやつが書いた攻略本風のなにか、という説の方があり得る話だとは思う。流石にこの世界がゲーム世界だと思うのは無理がある。
俺はキャラクター紹介から、一ページめくってみる。
すると次のページには『共通ルート攻略』と書かれていた。
どうやら、主人公の選択でどのルートに入るか決まるらしい。
平日放課後でどこに出かけるかが重要らしく、そこに各ヒロインがいるとのこと。
ただ、柿森さんのルートだけ、津宮椿ルートと鵜川須美ルートをクリアしている必要があるらしい。ルートには入れないが会うことは可能とも書いてある。
「これ、この世界がギャルゲー世界だって確かめるには丁度良いのでは?」
ゲーマーとして、この世界がギャルゲー世界かどうかは確かめたくて仕方ない。
自分がこのギャルゲーの主人公だとは全くもって思わないが、興味しかない。
今後どうするのかも含めて、この世界がギャルゲーなのかを確かめる。
ただゲーマーとしてストーリーを楽しみたいので、必要以上に攻略本を見ないようすることだけは徹底しよう。主人公がいた場合、いない場合も含めてこのギャルゲーがどう展開されるのかは、その場で楽しみたいからだ。
俺は制服を整えて、攻略本をリュックに入れて家から飛び出した。




