難敵には難敵をぶつけろ!
休日の朝。 アタイは一張羅のワンピース姿で桐原家に向かった。
「櫻井さん。 気をつけて行ってらっしゃい!」
「……かしこまりました、舞香様……」
「吉澤さん、お願いね?」
「お、お任せください!」
今日は美羽とお出かけだ。 この状況を作るのに、大分苦労したぜ!
舞香の協力で、なんとか出かける約束を取り付けるのに、成功したがな。
美羽の私服はどんなだろうか? 意外とラフな格好かもなぁ?
そう思っていたのに、美羽の奴は制服姿だった。
コイツも、瑞稀やアタイと同じ考えか。
「はわわ。 櫻井さん、どうしてそんな格好なんです?」
「……別に。 特に意味はありません。 それよりも、なぜ私は貴方とおでかけをする必要があるのでしょうか?」
「アワアワ。 舞香さんが言ってましたよ? 美羽さんは息抜きが必要だって!」
「……息抜きですか。 それは。 私には、必要ないことです……そんな価値。 私にはない……」
ーーコイツは難敵だぜ。 叩いてもヒビかネェ! でもな、アタイもタダで転ばねェよ! ちゃんと秘策を用意してあるんだぜ!
名付けて、難敵には難敵をぶつけろ、だぜ!
アタイは美羽を引き連れて、約束の場所へやって来た。
待ち合わせの主は、アタイを一瞬怪しく睨んだ後、美羽を見た途端に、複雑な表情をしやがった。
お前ら、一応仲間だろ! なんだ? まるで、敵同士みたいにしやがって。
「アワアワ。 おはようございます。 倉石さん」
「……おはよう。 ……瑞稀でいいよ、吉澤さん……」
待っていたのは瑞稀。 コイツも、休日なのに制服で来やがったぜ。
ブレザーに身を包んだ姿には表情がない。
「……そんな! 恐れ多いです〜」
「……そうなんだ。 ……おはようございます。 櫻井さん」
「おはようございます、倉石さん」
「……瑞稀でいいよ、櫻井さん……」
「いいえ。 それには及びません……」
会話、が終わった。 その後、沈黙が続くーー
これは、ヤバい。 挨拶だけで空気が氷点下になるレベル。 小手先のフォローじゃどうにもならない、根本治療が必要だ。 アタイは天を仰いだ。 任せろ、アタイがなんとかしてやる。
心を閉した二人を仲良くさせるには、まずはその武装である。 制服を解除することからだ!
「はわわ。 まずは、服屋行きましょう!」
「え……この格好でいいよ」
「そうです…。 必要ありません…」
「アウ〜 そんなこと言わずに〜 go go」
ーー名付けて強制お着替え大作戦だぜ!




