表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
原作では破滅の悪役令嬢〜でも色々違います?(再編集版)  作者: Masa(文章力あげたい)
後日話

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
89/112

ピンチはお約束なんですか? ーーエタナ視点

 一行はついに山頂へ到着しました。 空気は重く沈み、本当に何かが出てきそうな雰囲気が漂っていました。


 三人は、めいめいに気勢を上げていました。 悪霊の封印を解くと意気込む健太、戦いの始まりを噛みしめる彩乃、ことねには指一本触れさせないと誓う湊。 そしてサッチーは、これから戦いが始まりそうな空気にすっかり燃え上がっていました。


 健太が祠に張り付いていた札を剥がしました。 なるほど、あの札こそが悪霊を封じていたのです。 今にも風で飛びそうでしたから、危ういところでした。


 すると祠の中から黒い霧が湧き出し、一箇所に集まって濃い影を象りました。 それが、悪霊でした。 封印を解いた礼に褒美をやろうと告げる悪霊に、健太は要らぬと突っぱね、お前を消滅させることこそが褒美だと返しました。 彩乃も、悪霊を倒して世界の役割から解放されるのだと声を上げました。 悪霊はピンク髪の彩乃を良い匂いだと評し、あの姫と同等だなどと述べました。 湊は再び、ことねには毛一本触れさせないと繰り返しました。 悪霊は笑い、三人の心を絶望に染め、魂ごと喰らい尽くすと宣告しました。


 霧が突風のように吹きつけ、一行に襲いかかってきました。


 健太は技名を叫び、霧へ向かって霊気を放ちました。 あんなことができるのかと、私は驚きました。 ですが悪霊には豆鉄砲ほどにも効かず、健太は相手の怨念の強さに歯噛みし、本気を出すしかないと唸りました。 サッチーはその様子を「映えている」などと吞気に眺めていましたが、私にはとてもそれどころとは思えませんでした。


 次に湊が、背に負っていた刀を抜きました。 奥義・十文字斬りと叫べば真空波が走り、続けて秘技・乱れ打ちと繰り出します。 鋭い剣捌きには見えましたが、悪霊にはまるで擦りもせず、素振りの練習かと嘲られる始末でした。 湊は、ことねの霊を借りて刀に乗せねばならないと言い、空へ向かって何かを叫び始めました。 霊気が欲しいなら健太から分けてもらえばよいのに、と私は思いました。


 彩乃もまた、自らを主人公・桐原彩乃と名乗り、悪霊へ挑みかかりました。 彩乃パーンチと叫んで繰り出したそれは、しかしただの素振りにしか見えず、悪霊に子供の遊びかと笑われました。 彩乃は覚醒だの右腕が疼くだのと呟き、己の真の力に思いを馳せていました。


 戦闘の最中だというのに、三人がそろって俯き、ぶつぶつと呟いています。


 私はそれを危ぶみました。 ですがサッチーに言わせれば、これこそロマンなのだそうです。 強敵に苦戦してピンチに陥り、その時こそ隠れた実力が開花・覚醒し、敵を撃破する。 それがバトルのお約束なのだと。


 もっとも、当のサッチー自身も、途中で三人の様子の異変に気づいたようでした。 

 ーー奇妙な霧が、いつしか三人を覆っていたのです。 その中で、三人はそれぞれ気を失っていました。


 あれは、この悪霊の力ではありませんね!


 これはピンチなどではなく、敗北ではないでしょうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ