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原作では破滅の悪役令嬢〜でも色々違います?(再編集版)  作者: Masa(文章力あげたい)
本編

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82/112

ことねと湊、二人の時間

 これは、生徒会選挙前のクラブを設立した当時の話ーー


 「のんびり推活部ってさ、男が湊しかいないよね!」

 「困っちゃうよな本当に⋯⋯」

 「⋯⋯好きな女がたくさんいるから?」

 「はぁ? ことね、なに言ってるんだ?」

 「彩乃ちゃんに美羽ちゃん。 そして、みずちゃんもいるからね! ⋯⋯え! もしかして、今川先生も対象なの?」

 「俺を、恋愛ゲームの主人公みたいにするな!」

 「ふふ、じゃあ一番大変な、ハーレムモードに挑戦してみない?」

 「ことね、なに言ってるんだ! 俺は⋯⋯」

 「湊の攻略、楽しみにしてるからね〜」

 「おい! 待てよことね!」


  ーーごめんね湊。 突然あんなこと言っちゃって、迷惑だよね。


 ことねは心の中でそう詫びていました。 本当は、湊がハーレムなんて目指すつもりがないと、ことねにはわかっていました。


 でもことねは、これ以上堪えられなかったのでした。 湊が他の女と話している時、ことねはいつも笑顔でした。 みんなと話す時も笑顔でした。


 ーーでも、ことねの心の中はいつもドロドロしていたのです。


 美羽の本心を曝け出した時もーー


 「⋯⋯ことね、意地悪ですわね、近くにいるなら声をかけてくださっても⋯⋯」

 「うん。 私ね、美羽ちゃんが喧嘩して、傷ついて泣いてる所をずっと見てたよ」

 「ちょっと、酷いではありませんの。 なにかおっしゃってくださいまし!」

 「ふふ、だって美羽ちゃんの泣き顔、かわいいもん!」

 「ことね! サディストなんですの! ドン引きですわ⋯⋯」


 そう、ことねは意地悪でした。 美羽が泣いている所を見て喜んでいたのです。


 でもことねは、湊にだけは、そう思われたくありませんでした。


 いつも、楽観的でニコニコしている『川端ことね』でいたいからでした。


 だから、一番じゃなくてもいい、自分のことも愛して、と。


 ことねは願っていたのでした。


 「おい! ことね! しっかりしろ!」

 「⋯⋯湊」

 「さっきから、俯いて⋯⋯お前らしくないぞ? いつも元気だろ?」

 「そうだよね、いつも元気⋯⋯うん⋯⋯」


 湊はそんなことねを見ると、突然、ことねをお姫様抱っこしました。


 「⋯⋯え。 湊! 恥ずかしいよ! みんな見てるし!」

 「そんなことはどうでもいい! 静かな場所に行くぞ⋯⋯」

 「ねえ、降ろしてよ。 自分で歩くから⋯⋯」

 「嫌だ! 俺は今、ことねを抱っこしたい気分だから。 ⋯⋯なんだよ、いつもは抱っこされて嬉しそうにしているのに⋯⋯」

 「それは⋯⋯今日は駄目なの、恥ずかしいから⋯⋯」


 湊とことねは、人気のないベンチに座りました。 ことねはモジモジしていました。


 「おっと、お手洗いに行きたかったのか?」

 「違うよ! そう、これは違うの⋯⋯」


 しばらくの間、二人は視線を合わせないまま沈黙してしまいました。


 先に口を開いたのはことねでした。


 「⋯⋯さて、気持ちも落ち着いたから、文化祭もっと周ろうよ! 体育館とかみずちゃんたちが、楽しいイベントをして⋯⋯」

 「俺は行きたくない⋯⋯ことねのそばに居たい」

 「湊? どうしたの? ⋯⋯そんな態度じゃハーレムモード失敗だよ!」

 「ことね⋯⋯俺は、お前が好きだ!」

 「⋯⋯あ、うん。 ありがとう」

 「いいや、お前はわかってない! 俺がどれだけことねのことが好きなのかを!」


 湊がことねを正面からしっかりと見つめました。 ことねは、視線を泳がせました。


 「え、いや。 そんなことないよ! 湊は私の幼馴染だし。 毎日一緒に暮らしているから、それ相応の仲だよ! うん」

 「⋯⋯そうだ。 俺たちは、小さな頃からずっと一緒で、お前のことをいつも見てきた⋯⋯だからわかる。 ⋯⋯入学式の前日のお前の様子が変だったこともな」


 湊は最初から気づいていたのでした、ことねの変化に。


 「彩乃と美羽に話してる時の、お前の視線もな。 ⋯⋯ずっと、俺の方を見て寂しそうにしてただろ。 ⋯⋯なに呆けた顔してるんだ、言っただろ⋯⋯俺はこんなにもお前のことを見ているんだ。 ⋯⋯だから話せ、お前の抱えていることをな」


 ずっとこちらを見つめる湊に、ことねは悩みながらも打ち明けるのでした。

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