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原作では破滅の悪役令嬢〜でも色々違います?(再編集版)  作者: Masa(文章力あげたい)
本編

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72/112

原作世界 仮初の勝利!

 全校生徒が体育館に集められていました。 壇上に立つのは、ことねと彩乃そして湊でした。 


 後ろ側には、黒装束たちが影のように控えています。


 ことねはマイクを手に取り、ゆっくりと口を開きました。


 「皆さん。 先程の続きをしましょうか……」


 ざわめく生徒たちを、ことねは冷たい笑みで見渡します。


 「私が統べれば、すべては正しい秩序のもとに置かれる。 ……そうでしょう?」


 生徒たちの中後方から、拍手が起こりました。 黒装束たちの賛同です。


 「……私に従えば、考える必要なんてない。 ただの理想の駒になればいいの」


 その言葉に、諦めの空気が体育館を満たしていきました。


 ーーその時。


 「違うわよ! そんなの絶対に認めない!」

 「そうだ。 生徒たちは、自由であるべきだ」


 彩乃が叫びました。 湊も同調します。


 「……まだ懲りないのね」

 「考えなくていい? 迷わなくていい? ……それはただ、貴方が私たちから心を奪っているだけ!」


 彩乃の声が、静まり返った体育館に響き渡ります。


 「傷つくのが怖いのは私も同じ。 迷って悩んで、それでも前に進むのが私たちでしょう! 貴方の理想の駒になんてならない!」


 俯いていた生徒たちが、一人、また一人と顔を上げ始めました。


 「……ふん。 綺麗事を。 湊は私の駒でしょう? 彼女の隣に立つなんて、許さないわよ」


 湊は一歩前に出ました。


 「ことね。 ……いや、ことねに取り憑いた悪霊。 俺はもう、お前の絶望の餌じゃない」

 「なんですって?」

 「彩乃が教えてくれた。 俯いて誰かに従うより、顔を上げて隣に立つことの方が、ずっと強いってことを」


 湊の瞳には、もう廃人の名残はありませんでした。


 「彩乃。 行こう」

 「ええ」


 ことねの表情が、能面のように凍りつきます。


 「……いいでしょう。 その希望、私が叩き潰してあげる。 全校生徒の前で、絶望に染まりなさい!」


 ことねの周囲に、禍々しい気配が渦を巻き始めました。


 言葉の説得の時間は終わりです。 ここからは物理の時間でした。

 

 「うぐ! グアアア」

 「悪霊⋯⋯ここはアンタの場所じゃない! 今すぐに消滅せよ!」


 彩乃が札を川端ことねの顔面に押し付けました。 すると、ことねは苦しみの声を出しながら、周りを見境なく攻撃し始めます。


 ーー実は彩乃は、頭を打ったことにより、霊力を取り戻したのです。


 「小癪な技を! この体がどうなってもいいの?」

 「⋯⋯! アンタこそどう言う意味よ!」

 「ハハハ、なにも知らないのね」『俺が離れるとコイツの体がどうなるかな?』

 「アンタ、宿主になにをしたの!」

 『ハハハ! 俺はただ事実を言ったまでだ!』


 ことねから、悪霊が飛び出して来ました。 悪霊は空中で彩乃を挑発するように、泳いでいます。


 湊は、倒れたことねの方へ駆け寄りました。


 「ことね! しっかりしてくれ!」

 「湊。 ⋯⋯私のこと好き?」

 「それは⋯⋯」

 「わかってた⋯⋯。 ごめんね、だから嫉妬しちゃった⋯⋯」

 「すまない、ことね!」

 

 湊はことねをその場に置くと、彩乃の横に並びました。


 「俺が奴を引きつける! 彩乃はその札で奴に止めをさしてくれ! 奴はかなり弱体化している! 俺たちの希望の力のおかげでな!」

 『弱い雑魚の癖に、俺を、祓おうというのか! その口、塞いでくれよう!』


 悪霊が黒い霧状の触手を無数に繰り出します。


 湊はそれを、隠していた小刀で切り伏せます。


 『グアアア! 糞ガキ無勢が!』


 怒り心頭の悪霊が、湊に襲いかかります。


 「今だ、彩乃!」

 『なに! しまった!』

 

 彩乃が悪霊の額にお札を貼り付けます。 悪霊はもがき苦しみました。


 「やったか!」

 「悪霊め! 成仏するのです!」


 悪霊が萎んでいきます。 二人は勝利の喜びに抱き合いました。 しかしーー


 『感じるぞ、⋯⋯ハハハ。 やはり最高だ! 絶望の味は⋯⋯』


 悪霊が揺蕩う先は、ことねの前でした。 


 悪霊はことねを空中に浮かせ、そのまま彼女ごと消えていきました。


 二人は、動揺するしかありませんでした。


 『やったぞ! 独裁生徒会長を倒したんだ!』


 そんな二人を他所に、全校生徒たちは二人の勝利を喜びました。


 ーーこれから本当の戦いが始まることを知らずに。

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