ヒロイン争奪戦
数日後の放課後。 瑞稀たちは、また集まっていました。
「⋯⋯それでは、第二回文化祭会議を行います。 今回は、体育館の催しのタイムスケジュール調整と、舞台の配役決めを行います」
「あの〜 役割決めですかぁ? それってこの中から、配役を決めると言うことですかぁ?」
「その通りです、はわわさん。 この中のメンバー限定で固めます」
「……吉澤です。 あのあの〜 異議を申し上げますぅ! ことね様がいないじゃないですか! 彼女無くして舞台などできませんよぅ」
ひとみが会議が始まって早々に、司会者である瑞稀にワザとらしい声で抗議しました。
瑞稀が困っていると、彩乃がはわわさんの方へ、駆け寄りました。
「ことねがいなくても、問題ないわよ。 ヒロインである私がいるもの……」
「⋯⋯えっとぉ。 貴方誰ですかぁ?」
「桐原彩乃よ! 覚えなさい! ⋯⋯私は、この世界のヒロイン。 舞台の主役は私にこそ相応しいのよ……」
彩乃は突然天井に手を挙げました。 顔も上を向いて、目を閉じています。
しかし、そう思っていたのは、彩乃だけではありませんでした。
「ふふ。 さっきから聞いていれば⋯⋯この世界のヒロインがアンタですって? 笑わせてくれるわね。 ……どうもこんにちは、私こそが世界のヒロインよ!」
みんなが一斉に声の方向を向くと、ドヤ顔をした結衣がいました。
「⋯⋯なんですって?」
「あらあら? 聞こえなかったみたいね? それとも、現実を直視するのが怖いのかしら? ふふ」
「はわわわわ……」
二人の視線がばちばちに交差する。 そしてなぜか間にいるひとみ。
瑞稀が彩乃を落ち着かせるために、片手で頭を撫でました。
「彩乃、落ち着いて! ホラ、ゴロゴロ⋯⋯」
「ニャー、ニャー」
そして、瑞稀はもう片方の手で結衣を撫でました。
「ゆいゆい。 ヨシヨシ⋯⋯」
「ぷくぷく」
瑞稀は原因である、ひとみを睨みつけました。 彼女は、ワザとらしくキョロキョロしながらも、瑞稀に訴えます。
「あう〜 だって。 ことね様が、特別な存在⋯⋯なんです。 この文化祭はことね様にとっても、とても大事な行事なんですぅ!」
そんなことを、嘘泣きをしながら、叫ぶひとみ。
「⋯⋯仕方ないじゃない。 姫様がやりたくないって言うから⋯⋯」
そう、瑞稀はことねと姫様に、舞台の参加をお願いしていたのです。 だけど、断られたのでした。
「えっ、え~? そんなこと最初に言ってくださいよ! じゃ、問題ないです」
あっさり、引き下がるひとみ。 瑞稀は複雑な表情を浮かべます。
「⋯⋯二人とも、席に戻りましょうか?」
「いいえ、私はここでヒロインになると宣言するわ!」
「なんですって? 私がヒロインになるわよ」
また、喧嘩する二人。 瑞稀は周りに救助を求めます。
「そんなに言うなら、二人ともヒロインをすればいいだろう」
そう声を出した人物は、幸子だった。
「⋯⋯ここに、台本が二冊ある。 どっちかのヒロインを選んで、演じればよい」
「えっと、なになに⋯⋯邪神VSミウミウ 守れ我らの理想学園! もう一つは、ガールソード ~魔王討伐は、婚約破棄の後に」
「当然! 私はガルソーね。 アンタは着ぐるみでも被っておきなさいよ!」
「いやよ! 私もそっちがいいわよ!」
「なんですって! アンタ、なんて図々しいの!」
「はわわわ⋯⋯」
また喧嘩が始まった、そしてさっきと同じ状況にーー
「二人とも~、落ち着いてね」
「フシュー」
「ブクブク」
この二人をなんとかしてよ誰か! 瑞稀は、美羽を見つめました。
「ぐう⋯⋯もう~。 校内バイキング最高ですわ⋯⋯ぐう むしゃむしゃ ぐう」
瑞稀の思い空しく、美羽はぐうぐうと眠るのでした。




