文化祭方針会議
数日後の放課後、文化祭の関係者たちは会議室に集まっていました。
今日が初めての文化祭会議だったのです。
前の席に座っているのは、生徒会委員と、文化祭実行委員長と副委員長でした。
瑞稀はみんなが揃ったのを確認した後、席を立ちました。 全員の視線が彼女に集中していました。
「みなさん。 ただいまから、文化祭方針会議を行います」
「方針? 既に決まっていたはずでは?」
とある女子生徒の声が響きました。 そのことに一番驚いたのは、声を出した彼女のようでした。 瑞稀は彼女を睨みつけます。
彼女ーー吉澤ひとみは、あざとい態度でこう言いました。
「はわわ⋯⋯私はただ事実を言っただけです。 方針は生徒会で決めたって言ってたから⋯⋯」
「⋯⋯そうですか。 私が余暇をとっている間にそのような事態に⋯⋯」
瑞稀は生徒会員の四人を睨みつけます。
「わーなんのことですわー。 し、知らないですわよー」
美羽が惚けた声を上げました。 その様子を見た瑞稀は、気を取り直して話を続けました。
「え、ゴホン。 今回は私たちの判断できかねる事態が、発生したため、みなさんに共有と判断をいただきたく⋯⋯」
「そうだったんですね、お疲れ様です。 ⋯⋯それでは川端ことね様を讃える文化祭にどのような問題があるか⋯⋯お聞かせください」
ひとみは、ワザとらしく、頭を下げて着席しました。
「では、説明を行います。 ⋯⋯お二方、よろしくお願いします」
瑞稀がそう言うと、健太と結衣が前に出てきました。
前に出るなり、二人はお互いに睨み合っていました。 どうやら、二人は喧嘩をしているようでした。
「なあ、文化祭ってのは学生⋯⋯つまり俺たちの祭だよな? 当然、管理も俺たちがするべきだ。 ⋯⋯そうだろう?」
先陣を切ったのは健太でした。 彼は、みんなに感情で訴えました。
「⋯⋯それなのに、コイツは庶務と手を組んで⋯⋯あろうことか、文化祭を外部の委託にしよってんだ! おかしいだろ?」
ーーすると、瑞稀が結衣に近づきました。
「⋯⋯倉石。 なにやってんだ?」
「榊原様からのお言葉です。 なぜ管理を私たちがしないといけないって決めつけるのか、わからない。 私たちはその時間を使って、文化祭でやりたいことをする。 ⋯⋯素晴らしい考えですね」
「ああ?」
「ひぃ⋯⋯ということで、みなさんにはどちらがいいですか?」
瑞稀は、集まった関係者の顔色を伺いました。
そんな中、文化委員の彩乃が手を挙げました。
「⋯⋯委託って、私たちにどんなメリットがあるの?」
「その回答は、私が答えよう!」
全員が声のした方を向くと、ドヤ顔の幸子が、プリント用紙の束を持って佇んでいました。
彼女はプリントを配っていきました。 そこには真面目な文章が並んでいました。
「皆の者、その用紙をしかとご覧あれ」
瑞稀たちはその用紙を確認しました。 そこには、文化祭を委託するか、しないかのメリットとデメリットが書かれていました。 幸子はどうやら、中立的な立場のようでした。
結衣が幸子へ苛立ちの表情を浮かべていました。 裏切られたようでした。
その用紙を見た全員の中で、ワザとらしく声音を震わせるひとみ。
「えっえっと。 この文化祭の体育館で行われる予定の、川端ことねフェアと言うのは?」
「お目が高いですね、この地の神子である姫様の歴史を展示するんですよ。 なんと既に川端雫様から、承認いただいておりまして⋯⋯」
「ああ、なんて素晴らしいんでしょう⋯⋯」
ひとみは、手を合わせて拝み始めました。
続いて、彩乃が質問します。
「この、ファンタジー舞台劇と言うのは、どんなものなの?」
「榊原様曰く、理想学園オリジナルの舞台劇⋯⋯だそうです」
「へえ、面白そうじゃない」
続けて、文化祭委員長の竜也が手を挙げました。
「この、芸術コンテストって言うのは⋯⋯」
「はい、こちらは毎年開催されているコンテストの拡張版ですね。 既に、遠方の参加者には声掛け済みです」
「よし! 俺も頑張るぞ!」
他のみんなも完全に、催し物を楽しむ雰囲気ができていました。
結局、このまま文化祭は委託開催になるのでした。




