みんなで旅館にお泊り
「⋯⋯湊ったら、もう、特別に⋯⋯だからね⋯⋯」
旅館に到着した一行。 ドキドキお風呂タイムを終えたことねたちは、のんびり雑談という段階に入っていました。 しかし、それを一番楽しみにしていたことねは夢の中でした。
「相変わらず変な夢を見てるわね……」
彩乃が、ことねに布団を優しく掛けながらいいました。
「湊さんって噂のハーレムを目指している人?」
「そうよ、とんでもない、奴よ!」
舞香の疑問に、彩乃は答えます。 一方、美羽は湊のことを思い出しているようでした。
「湊は、私と一緒の時もことねの話をしてましたわ」
「へえ、ハーレムか。 爆破して欲しいな……」
瑞稀は、リア充が嫌いなようです。 舞香は、彩乃に微笑みを浮かべます。
「お姉ちゃんは、健ちゃんが好きなんだよね?」
「な、なんのこと? ⋯⋯私、知らない……」
「健ちゃん? ああ、柳田健太のことですわね!」
「なんだと! 生徒会庶務の柳田健太だと。 彩乃! アンタに話がある!」
「なによ! いきなり、怒鳴らないでよ⋯⋯」
と、みんなで仲良く話していたら、ことねーー姫様が起き上がりました。
「楽しそうね。 ⋯⋯貴方たち、私も混ぜなさいよ⋯⋯」
「なによあんた! ……いつもと雰囲気が違うわね? あの時みたいに」
「ことねお姉ちゃん?」
舞香が困惑しています。 彩乃は、柳田邸でのことねの様子を思い出していました。
美羽と瑞稀はことねの主人格、姫様のことを知っていたので、動揺しません。
「ミウミウは、知ってたの? ことねのこと⋯⋯」
「ええ。 瑞稀も知っていたのかしら?」
「そうだけど⋯⋯」
そんな中、姫様が言葉を続けます。
「水臭いわね。 貴方たちと私の仲じゃない。 楽しくお話しましょう⋯⋯」
姫様が、瑞稀たちに近づいてきます。 最初に話しかけたのは、意外にも舞香でした。
「あ! じゃあゲームして遊ぼ! 私、ことねお姉ちゃんとも一緒に遊びたいもん!」
「……ええ。 遊びましょ」
そして、二人で遊び始めました。 瑞稀と美羽と彩乃は視線を交わして、廊下側へ向かいます。
「ちょっと! ことねの様子がおかしいでしょ!」
「桐原さん。 あの状況の名前は姫様でお願いします」
ーーおや? 瑞稀がまた、彩乃に対して、ヘタってますね?
そのことに気づいたのか、彩乃は瑞稀を苛立たしげに睨みます。
「瑞稀⋯⋯桐原さんってね! じゃあ、私のことも彩乃って呼んでよ!」
「⋯⋯呼んでるじゃん」
「あれはネタでしょ! 知っているんだから! ⋯⋯そもそも、舞香のことは普通に呼ぶのに不公平よ!」
すると、瑞稀は彩乃の頭を撫でました。
「プシュー、シュウー」
「瑞稀! すごく威嚇されてますわ!」
「あれ? おかしいな〜」
しかし、彩乃の態度は緩和しませんでした。 そんな様子を見て、姫様が話しかけてきました。
「⋯⋯あなた達、こんな所でなにやっているのよ」
「プシュー、プシュー」
「ごっこ遊び? ……わかったわ。 ネコのモノマネね」
「違うわよ! なによ、まったく!」
そう言うと彩乃は、寝床に帰って行きました。
「ふふ、あの子は面白いわね⋯⋯」
「姫様! なんの話をするのかしら?」
「⋯⋯そうね。 例えば、瑞稀が今悩んでいることを当てるとか?」
瑞稀の今の悩みを当てる姫様。 その発言にドキドキしてしまう瑞稀。
そんな彼女を見て、美羽は呆れたように口を開きます。
「ああ。 瑞稀がまた、ちっぽけなことで悩んでいますわ!」
「⋯⋯またってなに!」
「いつも、ボケた後⋯⋯私の様子を伺っていますもの。 初対面の時から、毎回気になって仕方ないですわ!」
「そうそう。 ……後は、やりたいことリストだっけ? それが本当に達成したのか不安がったりとか⋯⋯」
「そ、それは……ね、寝床に戻ろう」
二人が瑞稀を見ながら、話していますが、瑞稀は顔を背けてしまいました。
寝室では、彩乃が寝ている舞香に向けて、語りかけていました。
「舞香。 ⋯⋯これから、いよいよ本番だわ。 大丈夫、私は⋯⋯貴方! 戻ってくるの早いわよ! あれ⋯⋯二人は?」
「えっと⋯⋯先に戻ってきた⋯⋯」
「どうしたの? 貴方、さらに顔色が悪いわよ⋯⋯」
「⋯⋯そういう、桐原⋯⋯あ、彩乃さんだって」
「昼間、貴方の寝言のこと話したわよね?」
「……えっと、そうだね。 それがなにか?」
「心当たりあるのよね⋯⋯ 原因に⋯⋯」
そういうと、彩乃は語り出したのでした。




