みんなで旅行に行こう!
夏休みも終盤です。 ことねは彩乃と待ち合わせをしていました。 これからみんなで楽しい旅行が始まるのです。
しかし、彩乃はこの状況が不服なようですーー
「暑いし⋯⋯私、こんなことしてる場合じゃないんだけど⋯⋯」
「もう! 彩乃ちゃん! そんな卑屈な態度では、人気はでないよ!」
「はぁ、なに言ってるのことね?」
ことねは、突然、キャラ紹介を始めました。
ーー彩乃は、クラスメイトなんだ! 私は彩乃ちゃんって呼んでるよ! 時々自分の世界に入って変な一人言を、言い続ける中ニ病なところがあるけど、親友だよ!
「⋯⋯今明らかに私を馬鹿にしたでしょ!」
「えぇ? よくわからないな!」
「おはよう、ことねお姉ちゃん!」
「舞香ちゃん! おはよう!」
最初に舞香が待ち合わせ場所にやってきました。
ーーこの子の名前は、桐原舞香。 彩乃ちゃんの妹で、マイマイとか舞香ちゃんとか呼ばれているよ! 私のかわいい、妹分なんだ!
「今日も舞香ちゃんはかわいいね!」
「ありがとう! ことねお姉ちゃんもかわいいよ!」
続いて、美羽もやってきました。
「ことね! お待たせしましたわ。 彩乃さん、おはようございます。 ⋯⋯あ、マイマイもいたのですわ⋯⋯」
「ミウミウ! なにそのリアクションは? 私がいたら駄目なの?」
「別になんでも、ないですわ! ふふ」
「一緒に遊ぼうね! ミウミウ!」
ーーこのですわ口調の女の子の名前は、櫻井美羽。 クラスメイトだよ。 美羽ちゃんは生徒会のマスコットのミウミウも担当してるんだよ! いつも人形を被って「ブグ」って言うんだ!
「⋯⋯ことね? 今、すごく不明瞭な説明が入りませんでしたこと?」
「え! そんなことないよ、美羽ちゃん!」
「そうですか? それならいいんですが⋯⋯」
みんなが集まっている中、瑞稀はその光景に少しびびっていました。
柳田結衣ーーゆいゆいに、言われたことを思い出している瑞稀。
「⋯⋯なになに『私みたいな人間が会えるだけでもありがたい』? ハア。 アンタ、どんだけ自己肯定感低いのよ!」
(私みたいな人間が、彼女たちと行動してもいいのかな?)
瑞稀は、そんなことを考えているようでした。
ーーこのままでは、埒があきませんね。 私は瑞稀に、話しかけました。
『瑞稀? 行かないのですか?』
「エタナ⋯⋯ううん行くよ⋯⋯ありがとう」
彼女は、少し重い足取りでことねたちの元へ向かって行きました。
「⋯⋯私が最後かな? みんな、おはよう!」
瑞稀がついたタイミングで、またことねの解説が始まります。
ーーこの方の名前は倉石瑞稀。 クラスメイトなんだけど、なんと生徒会長なんだ! でも私は瑞稀ちゃんって気軽に呼ぶんだ!
全員が揃いました。 ことねがみんなに声をかけます。
「さて、今日はみんなで海に行こう!」
「「「わーい」」ですわ」
「じゃあ私パス。 帰るね⋯⋯」
「彩乃ちゃん! なんで帰ろうとするの!」
「そうだよ、お姉ちゃん! 一緒に遊ぼ!」
「だって私、⋯⋯そこの二人とあんまり仲良くないし⋯⋯」
なんということでしょう! 旅の開始早々トラブルが発生しました!
ことねは問題の二人を睨みつけました。
すると、美羽が言い訳を始めます。
「どうしてでしょうか。 たしかに、マイマイと比べると、仲良しまでは言えませんけど、一応クラスメイトなんですよ、彩乃さん?」
ーーバレバレだよ美羽ちゃん! 貴方のですわ口調はどこに置いて来たの? 私、美羽ちゃんが相手と壁をつくる時は、敬語で話すって知ってるんだから! まったく、人見知りなお嬢様には、まったく困ってしまいますね!
ことねは、美羽と打ち解ける前から、彼女の本質を見抜いていました。
しかし、それは美羽も同じでした。 ジト目でことねを睨みつけます。
「⋯⋯ことね? 貴方、今日はいつにもまして、失礼ではありませんこと?」
図星を突かれたことねは、瑞稀の方を見ます。
ーーよし! 切り替えて行こう! もう一人を私は、睨みます。 生徒会長さん!
「うん? 私? ⋯⋯私は全生徒に平等に情熱を持って注いでいるから⋯⋯」
それは、瑞稀のでまかせでした。 彼女は一学期、あまり同級生たちと仲良くなれなかったと思い込んでいました。 彼女は勝手な自己解釈で、個人じゃない学級委員長や、生徒会長として一線を引かれていると勘違いしているのです。
そんな瑞稀に、厳しい指摘をするのは、美羽でした。
「⋯⋯どの口が言ってますの? 怠惰なサボり魔の癖にですわ⋯⋯」
「今、我々の間には亀裂が入った! ミウミウそこに座りなさい!」
瑞稀がそういうと、嬉しそうに微笑む美羽。 瑞稀には、美羽が微笑む理由がわかりませんでした。
美羽は、その表情のまま、瑞稀へ啖呵を切りました。
「べ! ですわ! 私は事実をいったまでですわ!」
その様子を、不仲だと勘違いしたことねは、焦りました。
ーーああ! 駄目だよみんな! そんなに騒いで! 仲良くしようよ!
すると、今まで黙っていた舞香が、悲しげな表情で口を開きました。
「⋯⋯お姉ちゃん。 私、悲しいな、お姉ちゃんとみずちゃんとミウミウと一緒に行きたいよ⋯⋯」
「「「さあ、仲良く行こう」」ですわ」
ことねは舞香にウインクをしました。 舞香も彼女にウインクを返します。
改めて、これからみんなで旅行に出発するのでした。
「……出発だけで、どんだけ揉めるのよ。 命令すればいいだけじゃない」
「姫様! 駄目だよ、そんなんじゃ! それよりも、今回でみんなと仲良くなってね! 姫様! ……私がずっといるとは限らないからね」




