ただいま! 会いたかったよ!
ーーあの後、瑞稀や湊。 和馬の使用人たちが大量のご飯に、苦しめられていましたが、それは別の話です。
数日後。 いよいよ二人が家に帰る日。
和馬は、美羽に向けて指示を送っています。
「いいか、美羽! 絶対に食費はメモを取るんだぞ! 後夜遅くに、湊くんを起こして『夜食が食べたいですわ』とか言うんじゃないぞ!」
「もう、パパったら。 わかっておりますわよ。 夜食は自分で作りますわ!」
「な、なんだと! 自分で作るだと!」
和馬は頭を抱えていました。 美羽は最近、自炊を覚えてしまったのです。
しかも、食欲は更に増しているようで、食費はこちらが出していますが、材料を勝手に使われて、湊が困っているのではないかと心配しています。
「⋯⋯とにかく、迷惑をかけるんじゃないぞ。 ……気をつけてな」
「はい! しっかりと、ことねの世話をいたしましてよ!」
二人が話している姿を、ことねは微笑みながら見ていました。
ことねにとって今回のお泊まりは、大成功でした。
お祭りの雰囲気も、屋台の食べ物も美味しかったし、花火も綺麗だった、と。
でも、それよりもことねが嬉しいのは、美羽と仲良くなったことでした。
「ことね! 家に帰るのですわ!」
「そうね。 ⋯⋯わかったよ、美羽ちゃん!」
「バスがもうすぐで来ますわ! 今なら、ダッシュで向かえば間に合いますわ!」
朝の日差しの中を、あの時のように競走しながら、帰るのでした。
そんなこんなで、家に着いたことね。 彼女は美羽と競争しながら、家まで帰ってきました。
「おかえり。 ……おいおい。 二人とも、そんなに息を切らして。 元気だなぁ、お前たち」
「湊! ただいま! ずっと会いたかったよ!」
「毎日電話で、ずっと会話してただろ。 寝落ちする時は、通信を切ってくれ」
「え! 湊の声を聴きながら、寝るのが最高なのに⋯⋯でも今日からは必要ないね! だって生の湊がいるんだもん!」
そう言うと、ことねは湊に抱きつくのでした。
一方、美羽はその様子にニコニコしながら、湊に問いかけました。
「ふう、湊くん、ただいまですわ。 ⋯⋯さっそく台所を借りますわね」
「コラ! なに、お手洗い感覚でご飯を作るつもりだ! ⋯⋯ご飯はもう作ってあるから一緒に食べようぜ!」
湊がそう言うと、美羽は嬉しいそうに顔を綻ばせました。
ーーアイツ、変わったな。 いままでは、ことねの前では食事のことなんて一言も話さなかったのに。 本当にことねと仲良くなったんだな。
湊は、それが嬉しくて微笑みました。
「あ! しまった!」
「どうしたんだ、ことね?」
「湊の負担の軽減のために、おとなしくしておこうと思ったのに⋯⋯忘れてた!」
「負担軽減?」
突然飛び出したことねの発言に、湊は顔を顰めました。
「そうだよ! 美羽ちゃんのお父さんから聴いたんだ! 湊、大変だったんだよね! 寂しいけど、スキンシップは控えめにするね!」
「え! ちょっと待って! そんなことないぞ、ことね!」
その後、湊がことねのスキンシップが好きだから、今まで通りでいいと伝えると、喜んで、湊を抱きしめることねなのでした。
「……ふふ。 安心したわ。 ねえ、湊。 私、嬉しいわ……」
「ことね?」
姫様が湊に、不気味に微笑みました。
「今日は、ゆっくりしましょう。 二人でね……」
「……美羽はどうするんだ?」
「あの子は、瑞稀のところへ報告にいくんですって……」
「……そっか」
姫様はそういうと、湊へ微笑むのでした。




