二人でデートしよう!
ことねが美羽の屋敷から帰ってきた次の日。 湊とことねは、おでかけをするようです。
「湊! どこに行く! 私、湊とだったらどこでもいいよ!」
「そうだな、近くの公園でも行くか」
「ね〜 どんな格好がいい?」
「そうだな? 制服以外だったらいいぞ」
「ふん。……制服以外ね……」
湊がそんなことを言うのは、理由がありました。 前回「なんでもいい」と伝えたら、ドヤ顔で制服を着てきたのでした。
「いや、それは……」となる湊に、ことねは「……なんでもいいんでしょ?」と答えました。
結局、そのまま散歩する二人。 湊は終始ドヤ顔のことねに辟易していました。
ーーどうやら『姫様』は制服が好きなようですね。
「制服以外ね……このままの格好でいいかしら?」
『私! それでいいの? デートだからオシャレしようよ!』
「……ことね? どうしたんだ?」
「湊。 パーカーとジーンズ。 ……つまりこのままでいいわよね?」
「ああ。 お前の好きにしてくれ。 でも、制服デートはなしだ」
「ふん。 じゃあ、行くわよ湊」
「おう」
夏休みの真っ只中、ことねと湊は公園に向かいます。 今日も、夏の暑い日差しが地面を焼いていました。
「今日も暑いね! 私、汗かいちゃうよ!」
「だったら、俺から離れてもいいんだぞ」
「それと、これは別だよ! あ! ソフトクリームがある! 一緒に食べよ!」
ことねは、湊を引っ張って、ソフトクリーム屋に連れて行きました。 そして、二人とも同じものを注文しました。
「美味しいね! でも、湊の方が美味しそうだね! いただきます!」
「おいおい、ことね。 同じのだから味は変わらないぞ」
「そんなことないよ! 湊のソフトクリームは美味しいな〜」
そう言いながら、二人は仲良くソフトクリームを食べていました。
ニコニコ顔のことねは、湊から離れようとしません。 湊もまんざらではないようで、優しくことねに微笑むのでした。
すると、横から声が聞こえてきました。
「ワルザベスよ、今宵は、特別な夜になるだろう。 共に祝おうぞ!」
「え? 何? 今夜、なにかするの? 私も付き合うこと確定?」
「ふ、当然だ奏者よ! 信仰者と奏者はセットだぞ! 我ら、エターナルパーフェクト教団の集会だ!」
会話をしていたのは、瑞稀と幸子でした。 瑞稀はいつもの彼女らしく、パーカーとジーンズ姿で。 瑞稀の服装の趣味が同じ所も、ことねと気が合うポイントなのでした。
一方幸子は、ワンピース姿でした。 眼帯や包帯もしていません。
ことねは、二人の様子に頭を傾げながらも、挨拶へ行きます。
「瑞稀ちゃん、こんにちは! 元気?」
「あ、ことね! こんにちは、偶然だね!」
「えっと、夜に生徒会のみんなで集まるの?」
「うん。 今日は生徒会のみんなで集まる予定なの、生徒会の二学期に向けたレクリエーションだよ!」
「あの⋯⋯それならそうと、最初から言ってくれませんか? 私も、貴方に合わせたくても、ボケられないじゃん……」
幸子はそう言うと、困惑した表情を見せました。 それに反応したのは瑞稀です。
「田中先輩は、普段はそういうキャラじゃないんですか?」
「え? 私、いつもそういう人だと思われてるの? あれはパフォーマンスだって! ⋯⋯もしかして倉石、私をそう思ってたの?」
「あれ? いつもはそうじゃないの? 私てっきり⋯⋯」
二人の間に気まずい空気が、流れてしまいました。 ことねはそんな二人を慰めるのでした。 湊はことねの、あたふたと取り乱す姿を微笑みながら見守っていました。
ーー実は湊は、困惑することねを見るのが大好きだったのです。
例えば、服装の件でどうでもいいと答えたのも、その一環でした。 湊は、ドヤ顔のことねよりも、困惑していることねを見たいようでした。
二人の仲を取り持った後。 湊の元に戻ってきたことねは、不満を隠せません。
ことねは、湊の悪い癖に気づいていたのです。
「湊! 趣味悪いよ! ずっと笑ってたでしょ!」
「ごめん、ことね。 だってことねが面白くて、つい……」
「どうしようかな? 湊が恥ずかしいこと、これからしちゃうもん!」
そう言うと、ことねは湊にお姫様抱っこをせがみます。 湊は渋々、ことねに従うのでした。




