美羽の決意 ーー瑞稀視点
朝の日差しを浴びて、私は目覚めた。 まだ暑いと言うほどでもないが、涼しくも感じない、外の風を浴びつつ私は微笑んだ。
日課のログインボーナスを受け取る手も、今日はどこかゆっくりしている。 ーーそう、今日から夏休みだからだ。
「瑞稀? お客様が来たわよ!」
「こんにちは。 みずちゃん」
「舞香ちゃん! こんにちは! ゲームしようよ!」
「瑞稀! 遊ぶのですわ!」
「ミウミウ。 今日は負けないよ!」
「そうだよ! ミウミウには負けないよ!」
私たちは微笑みながら、ゲームで遊んだ。 気がつくと夜になっていた。
「あれ? ことねお姉ちゃんから電話だ! ⋯⋯うん! 今、みずちゃんの所にいるよ! ⋯⋯わかった、伝えるね!」
「⋯⋯ことねがどうしたの?」
「今からここに来るって」
「ことね様が! えっと。 私、失礼するのだわ⋯⋯」
そう言うと、ミウミウは逃げるように飛び出して行った。
ミウミウ。 まだ、ことねとの関係に問題があるのかーー
「こんばんは! 二人とも!」
「こんばんは、ことねお姉ちゃん!」
「こんばんは、ことね。 ⋯⋯それでどうしたの?」
「今から、舞香ちゃんと柳田家に行くんだよ!」
ことねの話によると、桐原彩乃が今、柳田健太と一緒に行動していて、これから柳田家で当主とお話をするらしいーー
「お姉ちゃん⋯⋯」
「大丈夫だよ。 きっと彩乃さんにも事情があったんだって」
「そうそう! だから一緒に行こう!」
ことねは、私に目配せしながら同調した、そのあと二人は柳田家へ向かうのだった。
「瑞稀? お客様は帰ったの?」
「うん、そうだけど?」
「あらら。 せっかくご飯を用意したのに⋯⋯あの子いつも美味しそうにご飯を食べるから。 私、ついつい作りすぎちゃったわ⋯⋯」
ふと、食卓を見れば、大量の食事が並んでいた。
「ちょっと待って! 今、連絡するから」
私は慌ててミウミウに連絡を取るのだった。
「ご馳走ありがとうなのだわ! 瑞稀のお母様」
「こちらこそ。 美味しそうに食べているのが見れて嬉しいわ」
私はミウミウに連絡をした後、彼女は家に再び訪れてご飯を食べていた。 とても満足した雰囲気で、私のお母さんと話しているのだがーー
ふと、私はミウミウの態度に違和感を持った。 私は彼女に声をかける。
「ミウミウ。 今日はこれからどうするの?」
「えっ? ⋯⋯そうですわね。 ちょうど貴方にお話ししたいことがありましたし、もう少し時間をいただいてもよろしいかしら?」
「うん、いいよ」
私はミウミウと一緒に部屋に戻る。 すると、ミウミウが少し戸惑った表情を見せながら、私に微笑んだ。
「瑞稀! 私の別荘に招待するのだわ!」
「別荘? ここから遠いの?」
「いいえ。 たしかに電車やバスに乗り継ぐ場所にある別の街だけど、そこまで遠くないわよ。 ⋯⋯そうなのだわ! 別荘の近くではこの時期にお祭りがあるのですわ! 一緒に楽しみませんこと?」
「ふ~ん、お祭りね。 ミウミウはそんなに屋台のご飯が食べたいんだ?」
「当然ですわ! 後、それから色々な遊戯で遊びましょ!」
「うん、いいね。 私、そういうの好きだよ」
「本当ですの? 嬉しいですわ!」
そう言うとニコニコ微笑むミウミウ。 私はふと疑問を口にした。
「それでさ、私の他に誰か行くの? ⋯⋯ことねとか」
ーーすると、さっきまでの笑顔がなくなり、部屋に入ってきた時と同じような表情をしたミウミウがいた。 私は尋ねる。
「ことねも一緒に行って遊ぶんだよね? みんなで遊ぶの楽しみだな! 彩乃とかも誘って⋯⋯」
「私たち二人でですわ⋯⋯」
「⋯⋯どうしてかな? みんなで遊ぼうよ!」
「ことね様はこんな遊び、楽しみませんわ!」
「なんで? 私の知ってる『ことね』はこういう遊び好きだと思うけど」
ーーそりゃ、たしかに姫様が好きかどうかは知らないけど。
ミウミウは、悲しげな態度で俯いてしまう。 これは、さすがにスルー出来ないよね、友達として。
「⋯⋯姫様は気にしてたよ。 ミウミウとの関係」
「え! ことね様が⋯⋯」
「きっと、ミウミウと仲良くなりたいんだよ」
「⋯⋯そうなんですの。 でも勇気が出ませんわ。 ことね様を楽しませることができるのでしょうか⋯⋯」
「ハァ。 違う。 違うよミウミウ。 大切なのは姫様が楽しむことじゃない、美羽が楽しむことだよ」
私がそう答えると、美羽は驚いた表情で私を見た。
「瑞稀? どういうことですの? 意味がわかりませんわ!」
「なんで私を招待しようと思った?」
「それは、一緒に別荘やお祭りに行きたいと思って!」
「どうしてかな? その理由は?」
「えっ? ⋯⋯楽しむためですわ」
「それは誰が?」
「そんなの、瑞稀と私に決まって⋯⋯」
「うん、そうだね。 ⋯⋯でも、このままじゃ美羽も、そして私も楽しくない。 ⋯⋯きっと私たちがお祭りに行っても、心の底ではお互い不満が残るんだ。 たぶんそれは、美羽が一番理解しているんじゃないかな?」
私がそう言うと、美羽はしばらく考えたのち、私を見据えて声を出す。
「瑞稀! 私は⋯⋯」
「うん、どうした?」
「ことね様と一緒に別荘とお祭りに行きたいですわ!」
「よし! よく言ったミウミウ!」
「ありがとうですわ! 瑞稀!」
ミウミウはその後、家に帰って行った。 彼女は私も一緒に別荘に来ないかと、誘ってきたが、それは断った。
私は、部屋の窓から空を見上げて願う。
ーーどうか、『三人』が仲良くなりますように。




