始動する暗部
彩乃はなぜ、祠に行ったのかを説明しました。 最初は、まったく違う理由で惚けようとしましたが、やめました。 彩乃自身も彼らの狙いが気になったのです。
「⋯⋯それで健太に連れられて、訪問した次第です」
「理解した。 確認後、対処しよう」
「はい、おねがいします……」
「彩乃ちゃん! 話終わった? 疲れたよね! おいで!」
秀五郎と健太の三人で協議している間、置き物の様にしていたことねが彩乃に抱きつきました。 そんな彩乃はことねに体を預けました。
彼女は必死の山登り、柳田秀五郎との協議を行いました。 疲労と緊張がピークに達していたのです。
そんな彩乃を、ことねはお姫様抱っこで運んで行きました。 応接間には、秀五郎と健太が残っていました。
「彼女は力持ちだな」
「⋯⋯親父、今の彩乃の話どう思う?」
すると、にこやかだった顔が変わり、深刻な表情を浮かべる秀五郎。
そんな秀五郎に、健太は切り出しました。
「俺は、嘘をついていると思った。 ⋯⋯本当のことを話していない奴の特徴が、彩乃には全て該当した……」
「ふむ。 儂もそうじゃが。 まあ、すべてが嘘と言う訳ではあるまい。 しっかりと確認して、ことにあたらんとな…… 使いよ!」
「……ご要望は?」
「桐原家の身辺調査、祠の警備配置……」
「かしこまりました!」
指示を受けた使いは、任務を果たす為に飛び出して行きました。
一方、ことねは彩乃をお姫様抱っこで運び、寝室へ到着しました。
そこには、舞香と美月がいました。 ことねは、彩乃を起こします。
「はい! 到着ですよ、彩乃ちゃん!」
「……お母さん、お父さん」
「ことねちゃん、布団の準備出来てるからね」
「ありがとう、美月さん!」
「こちらこそ。 健太に呼ばれたんでしょう?」
◇◇◇
時は戻り、今川先生と大人の女性について勉強した後、ことねは家に帰っていました。
「二人とも、ただいま! 遅くなっちゃった!」
「ことね、おかえり! なにしてたんだ?」
「ふふ、私は、大人の女! 秘密なの!」
「……なんだそれ?」
ことねは、湊の方を向いて、口に人差し指を当て、ウインクとポーズを取る。
「⋯⋯どうしたんだ、ことね? 頭が痛いのか?」
「大人の女は秘密と嘘だらけなの!」
「ことね⋯⋯駄々を捏ねても、お小遣いはあげないぞ!」
「ことね様、あの私……」
「うん? どうしたの! 美羽ちゃん!」
「……なんでもありません」
美羽の様子がおかしいことが気になりましたが、大人の女を演じたことねは、ご機嫌でした。
その後、三人で仲良く食事をして、のんびりしていました。 その時、健太からDMが届きました。 ことねは、湊に伝えます。
「健ちゃんが、今から家に来いだって!」
「こんな夜中に呼び出しか⋯⋯まあ仕方ないか」
「マイマイにも、連絡完了っと! じゃ出掛け来るね! 美羽ちゃんと二人きりだから手を出し放題だね! ……でも、本当に手を出したら教育ね」
「おい!⋯⋯ちょっと待ってくれ、ことね! 誤解なんだ、俺はことねだけが好きだから! それに、美羽も瑞稀の家に行ったからな……」
ーーこうしてことねは、柳田家にやって来ました。
◇◇◇
「あれ、私、気絶していた?」
「お姉ちゃん! やっと、目を覚ました!」
「舞香…… それに……」
「改めましてこんばんは。 柳田美月と申します」
「あ! こんばんは、桐原彩乃です⋯⋯」
彩乃は疑問に思いました。 どうして彼女はここに存在しているのかーー
そんな彩乃にことねは、口に人差し指を立ててウインクした。
「なに? どうしたの? 体調悪いの?」
「彩乃ちゃん、大人女性には、秘密があるの! 細かいことは追求したら駄目!」
「な! 私だって、充分大人よ!」
二人が仲良くしている姿を、ニコニコしながら眺める美月でした。




