悪夢の始まりの入学式! 眠いしヒマだなぁ~
ーー翌朝
「ことね、起きて。 遅刻するよ」
「もう、食べられないよ~むう」
聞き慣れた優しい声に目を開けると、エプロン姿の湊がいました。
「うぅ⋯⋯好き、あと五分寝かせて~」
「⋯⋯そんなこと言って。 その五分が三十分になるだろ」
「じゃあ、代わりに抱きしめて!」
「⋯⋯はいはい、起きようね」
彼は呆れた様に急かすが、ことねは本気です。 彼女は今、のんびりした朝が愛おしいようです。
「ことね! なんでいつもジョギングした後に寝るんだ!」
「⋯⋯それはね! 湊に起こしてもらうためだよ?」
「なんだそりゃ?」
「ふふふ⋯⋯」
頭のどこかでわかっている。 学校に行けば、彼女がいる。 この世界のヒロインーー桐原彩乃が。
ことねは小さく呟きます。
「⋯⋯湊は私のものなんだから、絶対に渡さないもん⋯⋯」
「はいはい。 わかったから行くぞ!」
そして、二人で朝のひと時を過ごした後、学校へ向かう。
さあ、新生活の始まりですね。 応援しています。
さて、時が変わって理想学園の入学式の最中ーー
「うぅ⋯⋯まだ? 校長、喋りすぎじゃあない?」
「⋯⋯ことね、静かに。 入学早々怒られちゃうよ」
入学式の後列の席で寝ぼけることね。 制服のリボンが少し曲がっているのに気づかず、うつらうつらと、まどろんでいます。 ことねは、目の前の光景に違和感を覚えましたが、考え込むでもなく、ただぼんやりとまどろんでいます。
そしていつの間にか夢の中へ落ちていくのでした。
◇◇◇
「新入生代表 川端ことね!」
「⋯⋯⋯」
司会者に呼ばれ、川端ことねは前に立ちました。 この場で新入生として学校のルールに従うのが普通です。 しかし、彼女は違いました。 緊張しているのでしょうか?ーーいいえ、彼女は学校という、世界に対して反抗をしようとしているようです。
「⋯⋯初めまして皆さん、私の名前は川端ことねよ。 今日は皆さんに挨拶とお伝えしたいことがあるわ。 私は次にある生徒会選挙に参戦し、生徒会長になるの⋯⋯そして、私が生徒会長になったあかつきには、この学校の規則を改変するわね」
川端ことねの突然の発言に響めく会場。 ある者は隣と見渡したり、また別の者は彼女を馬鹿にする始末。 会場は混沌の場へと変化したのです。
「生徒諸君、落ちついて下さい⋯⋯川端様席にお戻り下さい!」
司会者がそう周りを宥めたり、川端ことねを退場させようとする。 しかし、彼女は聞く耳を持たず、続けてこう言ったのでした。
「私による支配。 逆らう者は全員退学⋯⋯もちろん先生方も対象です。 ⋯⋯そう貴方達は、みんな私の駒になってくれるかしら?」
川端ことねの発言に冗談だと言うことは出来たはずだーーしかし、会場から笑いの声が消え、代わりに漂う雰囲気は恐怖でした。
これが後に伝わる理想学園の悪夢の日々の始まりだったのです。
◇◇◇
「⋯⋯であるからして、私はこの学校でやりたいことリストをですね、100個ぐらい書いてきたので読みあげますね!」
「倉石さん、席にお戻りください」
「え~そんな⋯⋯この日のために夜しか寝ないで書いたのに。 私の野望が⋯⋯そうだ! 掲示板に貼ろ!」
ことねが寝ている間に新入生の代表の挨拶が終わったようですね。 不思議そうな顔で、隣にいる湊に話かけました。
「ねえ湊、入学式って⋯⋯こんな感じで終わるの?」
「いや、多分特殊だと思うよ⋯⋯」
「ふぅん。 これなら私も難しいこととか考えなくて済むね~」
ことねは学校が終わった後のことを、のんびりと考えているのであった。
放課後、入学式が終わり下校する生徒たちの中に彼女はいました。
ーー桐原彩乃この世界の主人公とことねが言っていた人物です。
「⋯⋯違う⋯⋯」
彼女がつぶやく声は、他の生徒たちの声にかき消されたのでした。




