原作改変? そんなに気にしなくても~
休日の喫茶店に、彩乃とことねは二人で来ていた。 ことねはいつものラフな私服姿だったが、彩乃はなぜか制服姿でした。
そんな彩乃はここ最近の原作改変について、ことねと話しあいたいと思っていたのです。
なぜなら、彩乃はことねが転生者であることを疑っているからです。
彩乃はことねの顔をじっと見つめます。
一方、ことねは彩乃の前で、不気味な笑みを浮かべます。
「彩乃ちゃん! 私を甘く見ているよね!」
「川端ことね!」
「じゃじゃん〜」
ことねは、一枚の用紙を取り出しました。
「じゃじゃん~変更点リスト!」
「⋯⋯なに、これ?」
「私が変わったな~って思ったことを書いたよ! これさえ読めば完璧だよ~」
ことねから、用紙をもらい中身を確認することになりました。
『変更点その一、高坂湊。 私の未来の旦那様は、存在すべてが、格好いいの~ この前、湊に聞いたんだ! のんびり推活部のメンバーの中で、誰が一番好きなの? って。 そしたら、「みんな俺の虜にしてやるさ!⋯⋯今川先生も含めてな!」だって! 凄いよね! 私もみんなを虜にしよう!』
彩乃はうなだれました。 ーー原作の彼は、川端ことねの駒として重度の労働を強いられ、常に心身共に衰弱している存在なのに。 たしかに、元気なのはいいんだけれどーー
『変更点その二、櫻井美羽。 家族公認の、湊の二股候補として、今まで秘密裏に育てられた彼女が、私に宣戦布告しにきた。 その心意気よし! この勝負絶対に負けないんだから!』
櫻井美羽、そんな人物は登場しない。 秘密裏、それなら本編に登場しない理由は理解できるわねーー
『変更点その三、倉石瑞稀。 みずちゃんはね、次の生徒会選挙に立候補する予定なんだよ! 凄いよね! 私も部活のメンバーとして応援するよ!』
ーー原作の前半の焦点は、桐原彩乃と高坂湊の交流を中心に書いていた。 だから、その間に学校でなにがあったのかの描写はなかった。 作者の都合と言えばそれまでだけどーー
ふと、彩乃は、ことねの方を見ました。 ことねは、視線に気付くと、期待するような眼差しでこちらを見ています。
ーー倉石瑞稀について、なにかあるのかしら?
しかし、彩乃はそんなことよりも、目の前の彼女のことに違和感をもっていました。
一番の変更点はことねに違いない! 原作で、描写される『冷たい瞳』は彼女には感じない。 しかも、生徒会長になるつもりもない。 私の敵どころか、彼女はすっかり、彩乃の心の拠り所になってしまったようです。 彼女がいる限り、この先もきっと頑張れる! そんな気持ちさえ芽生えてしまったのです。
彩乃は、リストの続きを読みます。 ーー今川先生の存在も謎ですが、その次の項目で、頭から消えました。
『⋯⋯桐原舞香。 マイマイは年は違うけど、毎日連絡を取り合っているし、休日にはよく一緒に遊ぶんだ! この間も、みずちゃんと三人で、ゲームや、ショッピングをしたり、映画も行ったよ! 私達はもう親友⋯⋯』
「ぬが~!」
「どうしたの、彩乃ちゃん! 落ち着いて!」
「舞香ったら勝手に! お姉ちゃん許しませんからね!」
「ああ、マイマイとはね、よく彩乃ちゃんのことで相談にのっているんだよ。 この前も『お姉ちゃんが原作と違う、おかしいとか言いながら、ベッドで呻いているけど、どうすればいいの?』って聞かれてたから、大丈夫! 思春期には必ずそう言う時期があるよ! ⋯⋯だから優しく見守ってあげて! って言ってあげて⋯⋯」
舞香に中二病扱いされてる。 そういえば最近、舞香の視線が優しかったようなーー
暴れる彩乃を、介抱することねでした。
ーー原作と一番違うのは彩乃ちゃんだね! 見てると、守ってあげたくなるもん! でも、私の知りたい情報は知れなかったな。 やっぱり、彩乃ちゃんは知らないのかな? 続編の世界をーー
今回の話し合いでお互いに情報は得られませんでした。




