原作世界の彩乃と湊の繋がり
男子生徒の投げたボールが原因で、頭を強打してしまった彩乃。 彼女は病院に運ばれましたが、目を覚ましませんでした。
彩乃が入院している病院には、唯一の肉親である妹の舞香が、ずっとそばにいました。
舞香は眠ったままの彩乃を見ながら、一人静かに涙を流していました。
そんな二人の様子を気配を消して、見つめる湊。 彼は舞香が泣き疲れて眠ってしまった時、そっと彼女に毛布をかけるのでした。
今日も舞香はいつものように泣いていました。 すると、彩乃の目が開きました。
彩乃が目を凝らすと、そこには泣き崩れている舞香がーー 彩乃は掠れる声を振り絞りました。
「⋯⋯うう⋯⋯舞香? ⋯⋯泣いてるの?」
「⋯⋯お姉ちゃん? お姉ちゃん!」
「⋯⋯ここは⋯⋯病院?」
「頭を打って、ずっと意識が戻らなかったんだよ! ⋯⋯もう寂しい思いをさせないで!」
「舞香⋯⋯ごめんね。 ⋯⋯もう大丈夫だから」
思わず彩乃を抱きしめる舞香ーー そんな二人を無表情で見つめる湊でした。
数日後、病室で舞香が彩乃に自宅での生活を話します。 舞香は明るい調子で彩乃に話し掛けています。 彩乃もそれに合わせていました。
「それでね! なんとか、自炊出来るようになったの! お姉ちゃん⋯⋯料理って大変だね⋯⋯」
「まあ、慣れたら、どんどん早くなるよ。 楽しみだな⋯⋯舞香の手作り」
「うん、期待しててね。 ⋯⋯じゃあ、また明日ね!」
「うん、またね。 舞香⋯⋯」
彩乃は、妹である、舞香が帰るのを見送りました。 目覚めて数日が経ちましたが、退院するにはまだまだリハビリが必要なようです。
そんな彼女に話しかける湊。 彼は毎日、彩乃と舞香の様子を見ていました。
「⋯⋯桐原彩乃さん⋯⋯こんばんは⋯⋯」
「高坂湊さん⋯⋯」
桐原彩乃は高坂湊の様子を見ます。 どうやら、彼は彩乃のクラスメイトらしいですがーー
しかし、彩乃には湊にまったく覚えがありませんでした。 目が覚めてすぐの時に、舞香に彼の名前を聞きました。
彩乃は疑問に思いました。 入学して、数日間学校生活をあのクラスで過ごしたのに覚えがないなんて、友達まではないにせよ、普通ならある程度の顔見知りにはなるはずなのにーー
「⋯⋯体調はどうですか⋯⋯」
「まだ歩くのは、辛いですね」
「⋯⋯そうですか⋯⋯」
彼はそう言うと、口を閉じました。 二人の間に気まずい雰囲気が流れます。 彩乃は湊の様子を見ます。 彼はどこか、消えそうな雰囲気を身に纏っていました。
彼の顔には、正気がない。 姿勢もまるでゾンビみたいで、声も抑揚がない。 彩乃は疑問に思いました。 彼は普段、どんな生活を送っているのだろうかと。
「⋯⋯では失礼しますね⋯⋯」
「はい、ありがとうございます⋯⋯」
しばらくすると、彼は帰って行きました。 桐原彩乃は高坂湊のことに興味を持ち始めていたのです。
一方ことねは、生徒会長室でぶつぶつと呟いていました。
「⋯⋯湊がいない。 なんでいないの湊⋯⋯」
彼女の声は、不気味に響いていましたーー




