共犯終了
アタイは家に帰っていた。 そして、部屋の奥にある像に歩み寄った。
「神子様……」
膝が、勝手に折れた。 アタイは、像に縋りついた。
しかし、何も応えてくれねぇ。 当たり前だ。 これは、ただの像なんだから。
「会いたいよ神子様。 ……アタイは、ただ……貴方のそばに居たいんだよ。 ……それで、名前を呼んで。 アタイは恥ずかしがりながら、頷くんだ……」
「アタイは……神子様と、友達になりたかったんだよ……」
ろうそくの炎が、ゆらりと揺れた。 像の神子様は、何も言わない。 いつだって、アタイを無表情に見ているだけ。
「……待っていてください。 もうすぐですから……」
理想のためなら、アタイは、どこまでだって、堕ちてやる。
例え、他の奴の気持ちを利用してもーー
◇◇◇
時は文化祭直前。 深夜の校舎の教室で、瑞稀とアタイたちは、最終調整の打ち合わせをしている。
これで、この打ち合わせも最後。 もはや、ここの常連になった瑞稀は、アタイの隣にいる。
「……では。 文化祭の開催の挨拶のタイミングで、映像を流します。 ……皆、首尾よく頼みますよ……」
撹乱班 統率班 映像班 実行班。 それぞれに詳細を再確認していく。 ふと、アタイは瑞稀の顔を覗いた。
「瑞稀……お前は、なに惚けてんだ?」
「ああ……美羽にとって、川端ことねの復活は、望んでいることなんだよね? でも、本当の彼女の性格を知ったら、美羽はショックを受けると思うな……」
ーーはあ? ショックだ? お前は、なにを言ってやがる。
「……彼女は、一年前。 この学校を私物化していた。 生徒たちは、自由や休みすら与えられずに、生きるゾンビとして学校生活していた……逆らった生徒は処罰。 みんなが、彼女の理想の駒だった……」
ーーらしい。 瑞稀は最後に付け加える。
それは、そうだろう。 お前は神子様を恐れて、自分の部屋でブルブル震えていただけなんだから。
「彼女の悪役令嬢っぷりを知ったら、美羽は幻滅するよ」
「大丈夫だ安心しろよ……美羽は、廃人になるから関係ないんだぜ! 偉大なる、神子様のために犠牲になるんだ! 光栄だろ?」
「そんな! 私はなんてことを……」
瑞稀は項垂れやがった。 おいおい、廃人になったのか?
「……」
チッ。 コイツはもう駄目だなぁ。 残念だぜ、倉石瑞稀。




