表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
原作では破滅の悪役令嬢〜でも色々違います?(再編集版)  作者: Masa(文章力あげたい)
外伝 バッドエンドストーリー ひとみの野望

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
101/112

親友だよね、私たち?

 服屋を出て、アタイたちは近くのカフェに入った。

丸いテーブルの席に三人。 瑞稀と美羽の間に座る。


 「はわわ。 何にしましょうか?」

 「別になんでもかまいません…」

 

 美羽は、語尾を不自然なに低くした。 『わ』と言う言葉が耳に届きやがる。


 「私は苦いのが苦手だなぁ」


 なんだよ? 意外だな。 瑞稀はむしろ好きだと思ってたのによ?


 それぞれの注文を終えて、また沈黙。 アタイは焦った。 ここで会話を生まないと、せっかくの大作戦が水の泡だぜ!


 「えっと、二人とも! 服似合っていると思いますよぅ」

 「そうかな? はわわさんも似合っているよ、でもこの前のラフな格好もよかったね! ……あれが普段着かな?」

 「……え? そんな〜 いつも、スカートですよ〜 だから、この格好は恥ずかしいです〜」

 「本当は、別の意味で恥ずかしいんじゃないの?」


 ーー瑞稀。 人の心に土足で入ってきやがるぜ。


 「……」


 で、美羽はまた、元通りかよ。 ガード硬すぎだろコイツ!


 「じゃあ。 二人こそ、普段どんな服着てるですかぁ?」


 ーー本当は知っているけどな!


 「……私は、私服を封印したんだ。 ひとみも知っているくせに……」

 「ゴホン。 美羽は? どうなんだよ」

 「……普段はあんまり。 制服か、メイド服です。 私は雇われているので、当たり前です……」

 「OK OK 質問が悪かったです。 じゃ、前はどんな服を着てたんですか?」

 「う〜ん? やっぱり、お嬢様だからドレスだよね?」

 「違いますわ。 私もラフな服装が好きですわ!」


 ーーついに本性を現したか、美羽お嬢様? よし。 また心を閉ざす前に、突っ込むかーー


 「ううん。 意外です〜 でも、お似合いです〜」

 「櫻井さんってお嬢様なんだね! 美羽って呼んでいい?」

 「いいですわよ。 私も瑞稀と呼んでいいかしら?」


 二人がお互いに、見つめあっている。


 ーーよし! これで仲良しだな。 作戦成功だぜ!


 ◇◇◇


 カフェを出て、河川敷のベンチに三人並んで座った。 夕日が川面に溶けて、世界が茜色に染まっている。


 「ねえ美羽。 どうしてお嬢様口調隠してたの?」

 「……それは」


 ーーおい瑞稀! 聞くなよ、そういうのを。


 「……前の学校で、いじめられていましたの。 お嬢様口調が、生意気だって……」


 美羽は当時を思い出して、辛そうだぜ。


 「……だから、転校を機に、やめようとしましたの。 『わ』とか『の』とか『パパ、ママ』とか……」

 「……ねえ? その、いじめてた人たち。 どんな子だった?」


 瑞稀の声が、ふいに低くなる。 どうしたんだ急に。


 「女子三人組ですわ。 名前は……」


 美羽が名前を答えた時、アタイはこの世の狭さに驚いた。


 「……そっか。 そうか、そうなのか。 ぐふふ……」


 瑞稀は川面を見つめたまま、ぶつぶつ呟いていやがる。 そして、瞳の奥がぐにゃりと歪むように笑っていた。 ーーマズイぞコイツ。


 「奇遇だね〜 私もそいつらにいじめられていたんだ〜 ……あ、頂戴いいものがあるんだ! 今出すね!」

 「な、なんですの瑞稀! 一体なにが出てきますの?」


 瑞稀の手が、トートバッグの中をまさぐる。 その手には藁で編まれた、人型のものが三体。 ーーなんでバッグからそんなもんが出てくんだよ!


 胸のあたりに赤い糸で名前が縫い込まれているのが、夕日でちらりと見えた。 


 「……ふふ。 美羽、一緒にアイツらに呪いをかけよう……」

 「……瑞稀。 駄目ですわ。 そんなこと無意味ですの! ……私はこれからもずっと、苦しみ続けるのだわ!」

 「……あ、そう。 残念だなぁ〜 残念だなぁ……ぐふふ」


 夕日が橋の向こうに沈もうとしていた。 藁人形を抱きしめる瑞稀の姿は、怖くてアタイは口を挟むこともできない。


 「……欲しくなったら、いつでも言ってね……だって、私たち親友でしょ?」


 瑞稀の笑顔が、今日見た中でいちばん怖かった。


 ーーこれじゃ駄目だ! こうなれば、本丸を叩いてやるぜ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ