↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
131/146

「で?この人どうしてこんな弱ってるの?」

吽蓮の背中で揺られながら時折唸っている“精霊”を見つめ、楓が尋ねる。

「池に落とした。」

「なんで?」

「邪魔だったから。」

「……は?」

前を歩く二人について歩きながら、喜助と柾が困惑を拭い去れずに杏にひそひそと声を掛ける。

「邪魔だからって知らん奴相手を池にぶち込むヤツ、信用してええんか?」

「蓮くん、ちょっと乱暴なところあるけど優しいよ?」

怖がりの杏が全く平然と話し掛ける辺り、危険は無いと理解しつつも、楓との会話を聞く限りどうも油断ならない相手にしか思えない。

「何で弱ってるからって白鴉の所に行くの?」

「知らない。蘭がそう言った。」

「阿蘭は?一緒じゃないの?」

「………。」

「ねぇ。」

「……………。」

受け答えが面倒臭くなったのか黙ってしまった吽蓮に楓が頬がぴくりと引きつった。

「蓮くん、今日はどうしてその姿なの?人型保つの、辛いの?」

「違う。コイツが長いからこうじゃないと運べない。」

杏の言葉にはしっかり答える吽蓮に沸き上がる怒りを抑えながら“精霊”をまじまじと見る。確かに、小柄な吽蓮が一人で運ぶには長身だ。

「阿蘭が持ってってくれたって良いのに。」

吽蓮がぼそりと不満げに漏らした。おそらく、阿蘭に任せようとして断られたのだろう。

「なら…俺、その人背負ってくよ。」

「は?」

短い一言に、戸惑い、疑問、警戒…たくさんの意味が詰まっている。

「…お前、お節介野郎やな。」

「お前がそれ言うか?」

「俺が世話焼くのは人間限定や。」

一緒にするなと口を歪める喜助に肩を竦めて柾が吽蓮に一歩近付く。

「その白鴉とか流風って人達の所まで運べば良いんだろ?多分、そこの人が起きてくれた方が俺達も話が聞けるしな。利害の一致ってやつだよ。」

柾の言葉に吽蓮も納得したのか、静かに歩みを止めた。

「ん、任せろ。」

すぐに意図を汲み取って柾が吽蓮の背中から“精霊”を引き継いだ。柾が“精霊”を背負うのを見て、吽蓮が獅子の姿から人型へ戻る。楓と杏には見慣れた、少年の姿だ。

「ほーん、チビやしその人担ぐんはしんどいな。…ったぁ!」

物珍しげに姿を変える図を眺めていた喜助が感想を口にしたかと思えば、スパンと乾いた音がした。吽蓮が喜助の頭を叩いたのだ。

「何すんねん!初対面やろ!ていうか首から上は手出すなって教わっとらんのか!」

「知らない。」

「蓮くん、叩いたらダメだよ?加減してくれてても蓮くん、力強いんだから…」

慌てて杏が間に入ると、吽蓮はそれ以上喜助を睨むことなく先導して歩いていった。

「何なん、あいつ!腹立つわ。」

怒りを収めきれない喜助を宥めつつ、楓は吽蓮に叩かれた事は無いのに気付いた。

(一応、遠慮はされてる…のかも?)

思わぬ発見をして人知れず驚きながらも、楓達は山道を進んで行った。

目指す場所は彼らが居るあの古木の元だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。