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「ねぇマサ、あんた昔かくれんぼしてて迷子になったじゃん?見つかるまで誰と遊んでたんだっけ。ホントに何も覚えてない?」

「少しで良いの。何か思い出せない?」

「え?」

家に戻った柾を待っていたのは、藍と楓の質問攻めだった。

「かくれんぼして迷子?やるやん。何歳ん時や、それ。」

にやにやした喜助まで加わり、柾は面倒くさそうに目を細める。

「いつの話だよ。覚えてねぇよ。」

「うそ!あんなにご近所さん家、一軒ずつ回って謝ったのに?」

「それ、何回やらされたと思ってんだ。」

「そんなもん友達に混じって悪ガキしてた自分に言いなさいよね。まぁ次の日には覚えてないって言ってたもんねぇ…何か手掛かりになるかと思ったのに。」

盛大に溜息を吐く藍。隣では楓も残念そうに下を向いた。

「何の話しとったん?」

何もわからない喜助が目を瞬かせる。

「あぁ、ごめんね喜助くん。いやね、退治任務に行ったら変なのに出会して…妖っぽくも思えるんだけどどうも妖じゃない気がして…」

藍の言葉に喜助もピンときたようだ。楓と視線を合わせて表情を引き締めた。

「それと柾、何か関係あるん?」

「そう。この子、小さい頃迷子になった時に誰かと一緒に遊んでたって言ったんだけど、それが人間でも妖でもないって言ったらしくって。」

説明をする藍を柾が首を傾げながら見ている。

「まぁ次の日になったらケロッと忘れちゃってたから夢でも見てたかもしれないんだけどさ。依頼から帰る時にふと思い出して、ね。」

本当にわからないといった顔の柾をまじまじと眺め、藍はふーっと長く息を吐いた。

「これからちょっと忙しくなるかもねぇ。私達が倒せない何かが出てきたなんてなったら、食い扶持も減るし、役立たずの札なんて貼られたらたまったもんじゃないわ。妖退治に特化したってのも、諸刃の刃よね。」

破魔の里はその名の通り妖退治を生業としている。その技術、知識、経験が売り物であり、もしそれが使い物にならない事態に陥れば、里の人間は路頭に迷うはめになる。

もし、その謎の存在の被害が拡大して、里でも手に負えないと判断されたら。今頃報告を受けた里長の(くぐい)を始め、里をまとめる立場にある者たちが対策を練っていることだろう。

(流風の所に…行かなくちゃ。)

焦りを覚える楓だったが、その日の内に流風の元へと行くことは出来なかった。事態を早期決着させるべく、その日の内に里の動ける面々が招集されたからだ。

「明日、班を組み朧山とその麓を巡回する。割り振りは__」

淡々と説明する鵠達里長衆に焦りや悲壮感は無かった。危険な芽があるなら早めに摘む、ただそれだけの話だという空気だった。

会が終わったのは夜が更けてからで、たとえ里を抜け出せたとして流風があの古木の元にいるかはわからない。寝不足になって翌日同じ班になった仲間の足を引っ張るわけにもいかない。楓は朧山へ向かう気持ちをぐっと抑え、翌日を迎えるしかなかった。

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