chapter47 迷宮攻略pt.10 雨が拓く道
side:ヴァリアス
「……寄って」
短く命じる。
咳き込みながらも、子竜たちがこちらへと寄ってくる。羽ばたきは乱れ、動きも鈍い。長くは持たない。
「離れるなよ。ここにいて」
全員が近くに集まったのを確認し、私は視線を上げた。
天井へ向けて、水魔法を放つ。
放たれた水はそのまま直進し、天井へと叩きつけられた。次の瞬間、弾けた水が細かく砕け、無数の滴となって降り注ぐ。
最初はぽつり、ぽつりと。
だがすぐに数を増し、やがて小さな雨となった。
降り注ぐ水滴が、空間を漂う鱗粉を叩き落とす。湿り気を帯びた粒子は重さを増し、次々と地面へと落ちていった。
「キュイ……」
子竜の一匹が、わずかに安堵したように鳴く。荒れていた呼吸が、少しずつ落ち着きを取り戻していく。
周囲の視界も、わずかに開けた。
だが――
完全ではない。
雨の外側では、依然として鱗粉が舞い続けている。落ちたはずの粒子も、わずかに跳ね上がり、再び空気中へと戻っていた。
(……やはり、消えたわけではないか)
私は足元へと視線を落とす。
濡れた地面に、白く積もった鱗粉が張り付いている。量は確実に増えていた。
「……なるほどな」
小さく呟く。
落とすことはできる。だが、それだけでは足りない。
私はもう一度、周囲を見渡した。
まだ、終わっていない。
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