chapter32 再び瘴気の世界へ
迷宮から出た私たちは、瘴気が渦巻く世界へ戻った。
「また世話になるかもしれないし、目印をつけておくか」
そう呟き、私はドラゴンの姿に戻ると、付近の地面を引っ掻いた。
“ボゴン”という鈍い音が響き、地面に深い爪痕が刻まれる。
「きゅい?」
子竜の一匹が「なにしてるの?」と言いたげに鳴いた。
「また来るかもしれないからね。
食料が手に入る場所は貴重だ」
そう言って翼を広げ、空へ舞い上がる。
子竜たちが慌てて後を追った。
私には目的がある。
――何故、父上たちはいなくなったのか。それを確かめる。
この瘴気に侵された世界で、長く生きられるとは思えない。
私のように魔法で肉体を保護できれば別だが、父上たちにそれができたとは考えにくい。
獲物を倒すときも、使うのはブレスや爪、尾。
魔法は扱うが、火、風、雷程度。
“光魔法”を使えるのは、私だけだった。
父上に言われたことがある。
「お前は魔法に長けている」と。
さっき出会ったブラックドラゴンにも言われた。
「お前は人間からの転生者だ」と。
確かに、私は知らないはずのことを知っている。
だが、それを疑ったことはない。
言葉にするなら――断片的な記憶。
本来のドラゴンとは異なる魔法を扱えるのも、その影響かもしれない。
……だが、だから何だ。
元が人間だろうと、今はドラゴンだ。
この世界を生きていることに変わりはない。
ならば、できることをやるだけだ。
私は子竜たちを引き連れ、瘴気の空を駆けた。
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