閑話 白虎の街 その2
第三章
閑話 白虎の街 その2
白虎城下町。
「かわいいー!」
のんちゃんが声を上げた。
アクセサリー屋だった。
木製。
銀細工。
宝石。
色とりどりのアクセサリーが並んでいる。
「綺麗だねぇ」
ひーちゃも嬉しそうだった。
「これ似合いそう」
のんちゃんが髪飾りを手に取る。
「えぇー?」
「絶対似合うって」
楽しそうだった。
その横。
れんか。
居ない。
「あれ?」
のんちゃんが振り返る。
「れんか?」
「いないねぇ」
数秒後。
発見。
隣の本屋だった。
既に立ち読みしている。
「早い」
れんか。
「早いねぇ」
ひーちゃ。
慣れていた。
完全に。
そんな風に。
買い物を楽しんでいた。
その時だった。
「ねぇお姉さん達」
男が二人。
声を掛けてきた。
「うん?」
のんちゃん。
笑顔だった。
一応。
「観光?」
男が聞く。
「うん」
「じゃあ案内しようか?」
「大丈夫」
終了。
三秒だった。
十分後。
別の通り。
「お姉さん達可愛いね」
また来た。
「ありがとう」
のんちゃん。
「お茶でもどう?」
「行かない」
終了。
十五秒だった。
さらに。
アクセサリー屋。
服屋。
雑貨屋。
行く先々で声を掛けられる。
「白虎って暇人多いの?」
のんちゃんが呟いた。
「多いのかもねぇ」
ひーちゃが苦笑する。
美人三人組だった。
目立つ。
とても。
そして。
五回目だった。
のんちゃんのイライラは蓄積済み。
◇
広場近く。
「おーい」
少し柄の悪そうな男達。
三人。
「ねーちゃん達」
「暇だろ?」
「俺らが案内してやるよ」
断る。
だが。
引かない。
「まぁまぁ」
「良いじゃん」
「少しくらいさ」
しつこい。
のんちゃんの笑顔が薄くなった。
「帰れって言ってるんだけどねぇ」
少しだけ。
本当に少しだけ。
声が低い。
ひーちゃが察して苦笑する。
「あらあらまぁまぁ」
れんかは本を読んでいた。
興味なし。
その時だった。
背後から聞き覚えのある声。
「お前ら何してんの?」
のんちゃんが振り返る。
「あらお二人さん。仲睦まじいことで」
「これ、そう見えるんだ?拉致らてるんじゃなくて?」
たにし。
そして。
お豆ちゃん。
腕を組んでいた。
「離せ」
「嫌だ!」
いつものだった。
チンピラ達も振り返る。
「なんだおめぇ」
「彼氏か?」
それ俺が?誰の?まだ誰のものでもないけど?
「誰こいつら?」
キョトン顔でのんちゃんに聞く。
「ナンパ?」
へーっとたにしは、チンピラ達を憐れんだ目で見る。
「ご愁傷さま…」
「なんだてめぇ!やんのか!おぅ!俺さまわなぁ!」
「おい!ちょっとまて隣の女…」
一人が呟く。
「え…鮮血の鬼姫…?」
静かになった。
「その呼び名嫌いなんだけどなぁ」
もう一度見る。
お豆ちゃん。
だった。
白虎の領主。
本物。
「あ、は、はい!すいません!領主様!」
終わった。
「領主様も可愛くないよねぇ」
チンピラ達、じゃぁどう呼べと顔。
硬直。
質問する勇気もない。
それを見て、のんちゃんがニヤニヤして言う。
「声掛けられてしつこくて困っててぇ。領主さまぁ」
調子に乗り出した
「へぇ?」
お豆ちゃん。
チンピラを見る。
ニヤニヤし始めた。
嫌な予感しかしない。
「お前ら」
お豆ちゃんがのんちゃんと肩を組む。
「は?」
チンピラ。
「これ」
「私と同類だぞ?」
静かになった。
チンピラ。
「これ言うな!」
「同類言うな!全力で否定だし!」
お豆ちゃん爆笑。
チンピラはもう顔色が死相。
逆に怖い。
「あそだ!」
何かをひらめいたのんちゃん。
「ママが悪いこと思いついた顔」
れんかが即座に突っ込む。
「ねぇおにいさんたちぃ♡」
いい笑顔でチンピラに声掛けるのんちゃん。
「お前また、キノコ食ったんか…?」
ドン引くたにし。
「街案内してくれるんだよねぇ♡」
「え、あ、いえ…ちょっと急用が…」
「そんな事言わないでさぁ♡」
詰め寄るのんちゃん。
「ああ…なるほど」
全てを察したたにし。
「ご愁傷さま…」
もう一度チンピラ達に声かけると、お豆ちゃんに引きずられるように去って行った。
◇
数十分後。
「これお願い」
のんちゃん。
「はい……」
チンピラ1
「これもお願いしますぅ」
ひーちゃ。
「はい……」
チンピラ2
「それ」
れんか。
お前は支払いもさせてないか?ないよな?
「はい……」
チンピラ3
完全服従だった。
荷物が増える。
さらに増える。
もっと増える。
「便利だねぇ」
のんちゃん。
「変な人も寄ってこないしぃ」
ひーちゃ。
「ママも鬼。確かに同類」
れんかは小さく呟いた。
チンピラ達は、ただただ泣きそうだった。




