第73話 ドラゴン急便
第三章
第73話 ドラゴン急便
◇
昼。
村長宅。
「ただいまー!!」
勢いよく扉が開いた。
◇
入ってきたのは。
あいり。
こはる。
ひーちゃ。
そして。
なぜかスズも居た。
◇
「なんでスズまで?」
たにしが聞く。
「ドラゴン素材拝借してたら、ひーちゃさん達が来たので!」
スズが胸を張る。
「拝借ってお前」
◇
「いやぁ、こはるとあいりちゃんだけだと話まとまらないだろうと思ってぇ」
ひーちゃが苦笑する。
「ヒトデ、やさしい!」
「ひとで、ぐるぐるしてた!」
そりゃそうか。
「なので、私も一緒に聞いてきたんですけどぉ」
ひーちゃが座りながら言う。
「ヒトデちゃん、普通に乗せてくれるそうです」
「ほう。というかもう、通称はヒトデでいいんだな?」
たくろーが聞き返す。
「え?ダメ?」
ひーちゃがコテンと首を傾げる。
「あ、いやいいんだが…」
ひーちゃもこんな子だったわ。こはるの母だったわ。
「ヒトデちゃん、たぶん、人語ほぼ理解してますねぇ」
「たぶん?」
「私達の話を聞いて、こはる経由で返事してたのでぇ」
「ぐるるー」
「うんうん」
「みたいな感じで」
「なるほどな」
たくろーが真顔になる。
「ヒトデ、いっぱいのれるって!」
あいりが元気よく言う。
「おべんとうもたのしみって!」
「なんで分かるんだよ」
「ぐるるーって!」
「うん、分からん」
「人数も問題ないみたいですねぇ」
ひーちゃが言う。
「むしろ余裕あるって言ってましたぁ」
「いや、あれ何人乗りなんだよ……ファミリーカーと思ってたらトラックなのか?」
いや、ドラゴンである。
◇
「あと、卵も見ててくれるって!」
あいりがさらに続けた。
「どゆこと?」
全員止まる。
「私達を送ったら、一回村戻るってぇ」
ひーちゃが補足する。
「その間、卵は自分が見てるから気にするなみたいな?」
「賢すぎんだろあいつ……」
たくろーが真顔になる。
「下手したらその辺の人間より話通じてるよねぇ」
のんちゃんが笑った。
◇
「で、スズの要件は?」
たくろーが聞く。
すると。
スズの目がキラッと光った。
「ドラゴン素材です!!」
「お前絶対それだと思った」
「いやぁぁぁ!!!」
スズが興奮気味に語り始める。
「ヒトデちゃんの鱗!!爪!!牙!!」
「めちゃくちゃ高純度なんですよ!!」
「ちょいちょい拝借してるんですけどね!?」
「加工性能が意味分かんないんです!!」
「硬いのに通るんですよ!!」
「意味分かんないこと言ってるな」
「というわけで、たくろーさん!!」
スズが勢いよく振り向く。
「白虎行くなら、装備更新しません!?」
「……あー」
たくろーが顎へ手を当てる。
「確かに、遠征前だしな」
「武闘大会なんですよねぇ!?」
「絶対強い人来るじゃないですか!!」
「工房の屋上にドラゴン住み着くことないじゃないですか!!」
完全に職人の目だった。
「そういや、素材結構溜まってたな」
たくろーが思い出したように言う。
抜け落ちた鱗。
削れた爪。
たまに生え変わる牙。
地味に備蓄されていた。
「はい!師匠が言うには、卵産む時期は脱皮みたいなのするらしいです!!」
「お宝ザクザクです!!」
スズ、ヨダレ出てる。
「よし」
たくろーが立ち上がる。
「やるか」
「うおおおお!!」
スズがガッツポーズする。
「遠征前装備更新イベント来たぁぁぁ!!」
「ゲーム脳がすごい」
れんかが呆れた。
「よーし!滾ってきたあああ!」
「来たぁ!」
「きたぁ!」
のんちゃんの真似をする、あいりとこはる。
「それじゃぁお洋服新調しようかなぁ」
ひーちゃ?武闘大会な?
「ピクニック弁当…唐揚げは必須…タコさんウインナー…」
だから、あっくん?武闘大会な?
「…まぁ楽しそうだしいいか」
みんなを眺めながらたにしも微笑んだ。




