第72話 家族旅行?
第三章
第72話 家族旅行?
◇
「ただいまー」
早朝。
村長宅の扉が開く。
「……朝帰り?」
れんかがジト目で見る。
「いやぁ、盛り上がっちゃって」
のんちゃんがケラケラ笑う。
◇
髪は少し乱れ。
服もほんのり酒臭い。
完全に遊び倒した人間だった。
「ママくさい」
「酒飲んでないよ!?」
「じゃぁなんで酒場みたいな匂いなの」
「空間!!」
◇
「おかえり。カエデ達帰ったん?」
たくろーが欠伸しながらテーブルへ座る。
「今、村出たとこ。無事帰れるのかな?」
と、のんちゃんが笑う。
◇
「開催、一週間後らしいねぇ」
のんちゃんが招待状をひらひらさせる。
「急だよな」
たにしが顔をしかめた。
「お豆ちゃんの予定が急じゃなかったことないけどな」
と言うたくろーに、たにしが、確かに…と答える。
「普通に馬車で行けば、五日くらいはかかるんだっけぇ?」
ひーちゃがお茶を置きながら言う。
「往復考えると、結構長いねぇ」
のんちゃんが頷く。
「まぁでも、私は行くよ!お豆ちゃんとやる!」
一同、でしょうね顔。
「お祭りみたいなもんでしょ?」
「絶対楽しいじゃん」
「れんかも行くよね?」
「……えぇ」
れんかが露骨に嫌そうな顔をする。
「なんで私も確定なの」
「火力枠」
「ガチ勢だ」
れんか諦める。
「やるなら勝つ気でいくでしょ!」
「当然、たくろーさんも盾枠で参加ね!」
「まぁそうなるんだろうな」
たくろーも諦める。
「あっくんはどうする?」
たにしが聞く。
「んー行こうかなぁ」
「白虎の料理興味ある」
「あっちの屋台とか市場とか見たい」
武闘大会は一切興味ないらしい。
◇
「まぁ、問題は子供組かぁ」
のんちゃんが顎へ手を当てる。
「五日移動はさすがにキツいよね」
「あいりとこはるは置いてく?」
れんかが聞く。
「私、子ども達とお留守番しとくよぉ。たにしさんも行かないわけには行かないだろうしねぇ」
と、ひーちゃが微笑む。
「まぁ俺は別に残りでも…」
たにしが言う。
「それだと、お豆ちゃん直々に迎えにくるでしょぉ?」
でしょうね。
「えー!あいりも行きたいー!」
「あいりは、何日も馬車乗ってられないでしょ」
れんかが言う。
「ヒトデに乗って行けばいいじゃん!」
あいり、こはる意外全員???
「ヒトデ?」
「どらごん!なまえ!ひとで!」
こはるが満面の笑みで言う。
「……あー」
たくろーが呟く。
「こはるのネーミングセンスは今更だが、その名前、あのドラゴン納得してんのか?」
「嬉しそうに、グルグル言ってた!」
「そうか…」
とたくろーが苦笑する。
一同、同意。
「まぁでも確かに、ドラゴン移動なら半日くらいかねぇ?」
のんちゃんが言う。
「空飛べるし」
「速いし」
「あったまいいー!」
あいりがドヤ顔する。
◇
「そーなるとぉ」
「ヒトデちゃんと話せるの、基本こはるだよねぇ?」
「……あ」
全員気付いた。
つまり。
こはる必須。
「こはる行くなら、ひーちゃも必要だよね?」
「まぁそうなるねぇ」
「……結局全員じゃねぇか」
たにしが笑う。
◇
「やったぁー!!」
あいりが飛び跳ねる。
「みんなで旅行だぁ!!」
「だー!!」
嬉しそうなあいりを見て、こはるも嬉しくなる。
◇
「問題は、この人数乗れるのかだな」
たくろーが言う。
「あと、卵、どうするの?」
れんかも言う。
冷静組二人である。
「まぁその辺の問題解消出来たらだな」
と、行きたくない筆頭たにしが一縷の希望を込めて言う。
だがその希望は昼には打ち砕かれる。
ニコニコ顔のあいりとこはるがドラゴンの元から帰って来たことで。




