第68話 視察と案内役
第三章
第68話 視察と案内役
◇
「では、村を案内しますか」
のんちゃんが立ち上がる。
「お願いします」
カエデは軽く頭を下げた。
その後ろでは、アマゾネス達が一糸乱れず整列している。
「……いやぁ」
のんちゃんが困ったように笑う。
「さすがにそのまま歩くと、村人がビビるかなぁ」
「問題ありますか?」
「ここの人、変なのには慣れてはいるけどねぇ」
◇
村長宅を出る。
朝のルノア村。
パン屋からは焼きたての匂い。
畑には朝露。
子供達が走り回り。
木材を運ぶ村人達が声を掛け合う。
そんな、いつもの朝。
そして、その真ん中を。
完全武装のアマゾネス十人が無言で行進していた。
「……」
「……」
村人達がスッ……と道を開ける。
「ほらね?」
のんちゃんが苦笑する。
「威圧感が凄いのよ」
「なるほど」
カエデは納得したように頷いた。
◇
「スズー!」
ルノア組前。
のんちゃんが大声で呼ぶ。
しばらくして。
「はいです!!」
バタバタと音を立てながら、スズが飛び出してきた。
赤髪ボブ。
ゴーグル。
いつもの作業着姿。
「お、カエデさんです!!」
「お久しぶりです」
カエデは軽く会釈した。
◇
「スズ、このアマ子達ちょっと預かって」
のんちゃんがアマゾネス達を指差す。
「アマ子って…」
終始無言のアマゾネスの一人が思わずつぶやく。
「新しい組員ですか!!」
「組員って…」
「いや、カエデの同行者らしい。アフロ達に相手させといて。ここなら違和感ないっしょ」
「了解っす!!」
その時。
「騒がしいっすねぇ」
奥から若頭が出てくる。
相変わらず半裸。
アマ子の数人が頬を赤らめる。
「なんすかこのねーちゃん達」
反応が軽い。
「若、ちょっとこの子ら預かっといて」
のんちゃんが言う。
「新しい舎弟っすか?」
「再放送はいいから。あ、今からカエデを案内するからお前もこい」
「はい喜んで!!」
若頭はスキップで走ってくる。
「お前、山賊居酒屋で働きすぎだろ」
フロア担当か。とのんちゃんが笑う。
◇
「では、皆さんはこちらで待機を」
カエデがアマゾネス達へ指示を出す。
「ハッ!!」
声が揃う。
「うるさっ!!」
スズが肩を跳ねさせた。
◇
「じゃ、改めて案内しよか」
のんちゃんが笑う。
「お願いします」
「ルノア村観光ツアーっすね」
若頭も軽い調子で続いた。
そして。
ルノア組の山賊達も一気に慌ただしくなった。




