第67話 視察と招待状
第三章
第67話 視察と招待状
コンコン。
早朝。
村長宅。
「うーい」
たにしが玄関を開ける。
そこに立っていたのは。
「お久しぶりです」
カエデだった。
その後ろに、整列したアマゾネスが十人ほど。
「……多くね?」
たにしが即ツッコむ。
「同行者です」
カエデは短く言った。
◇
「おー、カエデー。おはよー。どーしたん?」
のんちゃんが欠伸しながら顔を出す。
「おはようございます」
カエデは淡々と返す。
「ドラゴンが噂になってましたので、その確認に」
「あーね」
たにしがため息をつく。
◇
リビングに通す。
いつもの村長宅。
いつもの生活音。
パンの匂い。
湯気。
日常。
ただ一つ違うのは。
“圧だけが増えている”ことだった。
アマゾネス軍団は一切座らない。
立ったまま、周囲を観察している。
「落ち着かねぇなこれ」
たにしがぼそっと言う。
「慣れてください」
カエデは即答した。
◇
「で?」
たにしが聞く。
「ドラゴン見に来たのは分かるけど」
カエデは一度だけ頷く。
「確認は完了しています」
「早いな」
「本物でした」
「だろうな」
◇
カエデは懐から紙を取り出す。
「あと、もう一つ」
「それが本題だろ」
「はい」
即答だった。
◇
紙をテーブルに置く。
「姉様からの招待状です」
空気が少しだけ重くなる。
「……嫌な予感しかしねぇ」
たにしが顔をしかめる。
「内容は?」
のんちゃんが軽く聞く。
たにしは、しぶしぶ封を開けた。
「たにしちゃんへ」
「元気ですか?」
「私は元気です」
「最近よく夢に出てきます」
「これは運命だと思います」
「だから、武闘大会しようよ!」
一拍。
「だから?」
たにし沈黙。
「お豆ちゃんぽいわあ」
のんちゃんがテーブルを叩いて爆笑する。
「文章力、あいり以下」
れんかが紅茶を飲みながら言った。
「要するに?」
たくろーがカエデを見る。
「近々、白虎中都市で白虎選抜武闘大会が開催されます」
カエデは淡々と説明する。
「各諸侯の有力者が参加を表明済みです。つきましては、ルノアの皆様にも参加をお願いしたく」
「この手紙意味あんの?」
たにしが真顔で言う。
「補足として」
カエデは続けた。
「“来なかったら迎えに行きます”とも言っていました」
「招待とは……」
たにしが天井を見る。
◇
「お豆ちゃんも出るんだよね?」
のんちゃんが興味深そうに聞く。
「はい、もちろんです」
カエデは頷く。
「リベンジチャーンス!」
楽しそうに、のんちゃんは笑った。
「ママ、悪い顔してる」
れんかが呆れたように言う。
自分も巻き込まれる未来が見えている顔だった。
◇
「それではこれで」
カエデは立ち上がる。
「もう帰んの?」
のんちゃんが聞く。
「いえ、少し村を見せて頂いてからと」
「じゃぁ案内するよ」
「助かります」
「あ、忘れるところでした」
カエデは思い出したように懐から封筒を取り出し、たくろーへ渡した。
「これは?」
「招待状です。日時などの詳細が記載されています」
たくろーは苦笑しながら受け取る。
たにしは手元の紙をヒラヒラさせながら。
「じゃぁこれはなんなんだよ?」
カエデは少しだけ考えて。
「恋文?でしょうか?」
真顔だった。
少し考えるたにし。
「もう一回言うけど、この手紙、意味あんの?」
「ひゅーひゅー」
れんかは棒読みで言いながら、紅茶だけ持って部屋へ戻っていった。




