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オフ会してたら異世界に飛ばされたのでゲーム脳で生き抜いてみる  作者: 元 智
そして迷う

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 第63話 託されたもの

第三章


 第63話 託されたもの

  


 山奥。


 岩場の奥。


 そこに、

ドラゴンの巣はあった。


「うわぁ……」


 のんちゃんが思わず声を漏らす。


 巨大な空洞。


 黒曜石みたいな岩壁。


 そして中央。


「……デカ」


 たにしが呟いた。


 卵。


 とにかく大きい。


 人ひとり抱えるくらいある。


 赤黒い殻。


 うっすら熱を持っていた。


「これが……」


 スズが目を輝かせる。


「ドラゴンの卵……!」


「お前ほんと鍛冶関係になるとテンション上がるな」


「当然です!!」


「竜素材とか伝説級ですよ!?」


 その時。


 ドラゴンが、

ゆっくり卵へ近づいた。


 そして。


 鼻先を、

そっと押し当てる。


「……」


 空気が静まる。


 その姿は。


 さっきまで暴れていた怪物じゃなく。


 ただの親みたいだった。


 こはるが、

小さく呟く。


「だいじにしてる」


 ドラゴンが、

低く喉を鳴らした。


「グルル……」


 カンカンが、

腕を組む。


「毎回こうやって、

託す相手探すんじゃ」


「でもなんで人間に?」


 ひーちゃが聞く。


「知らん」


 カンカン即答。


「昔っからそういう竜じゃ」


「お前、俺より適当よな…」


 たにしが呟く。


 その時。


 ドラゴンが、

ゆっくりこちらを見た。


 黄金の瞳。


 視線。


 向いた先は。


 こはる。


「……やっぱり?」


 のんちゃんが言う。


 ドラゴンは、

ゆっくり近づいてくる。


 山賊達が緊張した。


 だが。


 ドラゴンは、

こはるの前で止まった。


「こはる」


 たくろーが静かに呼ぶ。


 こはるは、

怖がらなかった。


 ハナを抱っこしたまま、

ドラゴンを見上げる。


「んー?」


 ドラゴンが、

ゆっくり頭を下げる。


 そして。


 卵を、

そっと押した。


 ころん。


 ゆっくり。


 こはるの方へ転がる。


「うわ」


 たにしが声を漏らす。


「マジで託しやがった」


 こはるは、

卵の前へ座り込む。


「……あったかい」


 小さな手で、

殻を撫でた。


 そして。


 こはるが、

ちらっとひーちゃを見る。


 空気が少し止まる。


 ドラゴンは、

静かにこはるを見ていた。


 敵意は、

もう完全に消えている。


 ひーちゃが、

ゆっくりドラゴンを見る。


 そして。


「……そっかぁ」


 優しく笑った。


「この子ね」


「その卵から赤ちゃん竜が生まれるまで、

こはるに手伝ってほしいんだと思うよ」


 ひーちゃはこはるに視線を合せ、優しく微笑みながら言う。


 ドラゴンが、

低く喉を鳴らした。


「グルル……」


「うわ、肯定した」


 たにしが引く。


 こはるは、

もう一度卵を見る。


「おてつだい?」


「うん」


 ひーちゃが頷く。


「この子、

こはるなら大丈夫って思ったんだと思うよ」


 こはるは、

少し考えてから。


 にぱっと笑った。


「わかった!」


 ぎゅーっと、

卵を抱きしめる。


「おうちつれてかえる!」


 全員、

少し止まった。


「……持って帰るの?」


 のんちゃんが聞く。


「うん!」


「みんなでそだてる!」


 ドラゴンは、

静かにその言葉を聞いていた。


 ただ。


 じっと、

こはるを見る。


「……認めたか」


 たくろーが呟く。


「でもこれどうやって持って帰るんだ?」


「重そうだよねぇ」


 ひーちゃが困る。


 たくろーが、

卵の前へしゃがみ込んだ。


「……まぁ持てなくはないか」


「持てるんだ……」


 たにしが若干引いた。


 ドラゴンは、

静かに目を細めていた。


 まるで。


 それは、ただ安堵した母の顔に見えた。

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