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オフ会してたら異世界に飛ばされたのでゲーム脳で生き抜いてみる  作者: 元 智
そして迷う

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 第62話 託す竜

第三章


 第62話 託す竜

  


 山道。


 ドラゴンは、

一度こちらを振り返ると。


 ばさぁっ!!


 巨大な翼を広げ、

そのまま山奥へ飛び去っていった。


「うおっ!?」


 風圧。


 木々が揺れる。


「どデカいなぁ……」


 たにしが顔をしかめる。


「近くで見ると怖さ増すねぇ」


 のんちゃんが苦笑した。


「でももう、

敵意は薄そうだったねぇ」


 ひーちゃが言う。


 その横で。


 こはるは、

ハナを抱っこしたまま山奥を見ていた。


「まってるって」


「普通に会話成立してんだよな……」


 たにしが遠い目をする。


 その時。


 カンカンが鼻を鳴らした。


「そりゃそうじゃ」


「え?」


「あやつ、

元々人を無闇に襲う竜じゃない」


 全員の視線が集まる。


 カンカンは、

山道を歩きながら続けた。


「あやつはな」


「この山の主っちゅうより――」


 少しだけ空を見る。


「何十年かに一度、

卵を産みに来る竜じゃ」


 空気が静まる。


「産卵……?」


 スズが呟く。


「ほうじゃ」


「昔からこの山を使っとる。なんならワシが後じゃしな」


 カンカンは屈託なく笑う。


「卵を産み、

そして――」


 カンカンは、

少しだけ目を細めた。


「託す相手を探す」


「……は?」


 たにしが聞き返す。


「竜って子育てしないの?」


「する奴が多いじゃろな」


「じゃが、

あやつは違う」


 カンカンは、

ゆっくり歩きながら言う。


「卵を託せる者を探し」


「見つかると大人しくなる」


「そして」


「孵化まで見届けて、

また去る」


「変わったドラゴンだねぇ……」


 のんちゃんが呟いた。


「昔から変わり者じゃよ。ワシに卵押し付けようとするし」


 カンカンが笑う。


「まぁ竜なんぞ、大体変じゃがな」


「お前も大抵だけどな」


 たにしがツッコむ。


 その時。


 スズが、

少し不満そうに聞いた。


「じゃあ師匠!!」


「“最近の若いのはドラゴン一匹どうにも出来んのか”って!!」


「討伐しろって意味じゃなかったんです!?」


「言っとらんぞ?」


 カンカン即答。


「どうにも出来んのかとは言ったが」


「討伐しろとは一言も言っとらん」


「紛らわしいんですよ!!」


「ガッハッハ!!」


 豪快に笑うドワーフ。


 たにしが頭を抱える。


「クソジジイすぎる……」


「じゃがまぁ」


 カンカンは、

少し真面目な顔になる。


「あやつも焦っとったんじゃろ」


「焦る?」


「卵を託す相手が見つからんかった」


「元来、人だけとは限らんのじゃが、

色々減っとるからのぉ。人を試しておったんじゃろ」


 その言葉に。


 たくろーが、

山奥を見る。


「……襲ってたんじゃなく?」


「見極めてた?」


「多分の」


 カンカンが頷く。


「実際、

本気ならお前さんらもう死んどる」


「それはまぁ……」


 全員、

否定出来なかった。


 その時。


 こはるが、

ぽつりと言った。


「たまご、おねがいっていってた」


 空気が少し静まる。


「いやもう普通に通訳なんだよなぁ……」


 たにしが遠い目をする。


 カンカンは、

そんなこはるを見て、

少しだけ笑った。


「巣に呼ばれたっちゅう事は」


「この中の誰かが、

あやつに見込まれたんじゃろうな」

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