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オフ会してたら異世界に飛ばされたのでゲーム脳で生き抜いてみる  作者: 元 智
そして迷う

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 第53話 まだ終わってない

第三章


 第53話 まだ終わってない

  


 村長宅。


 少しだけ空気が緩む。


 だが。


 お豆ちゃんだけは、まだ黙ったままだった。


 たにしを見ている。


 真っ直ぐ。


 昔と変わらない目で。


「……なんだよ」


 たにしが面倒臭そうに言う。


「いや?」


 お豆ちゃんが笑う。


「やっぱ、たにしちゃんだなーって」


「意味分からん」


「昔からそうだったじゃん」


 お豆ちゃんは椅子へ深く座り直す。


「自分の守りたいもんだけ守って」


「それ以外どうでもいいみたいな顔してさ」


「実際どうでもいいし」


「でも」


 お豆ちゃんは続けた。


「だから、皆ついてったんだよ?」


 少しだけ。


 空気が止まる。


 たにしが眉をひそめた。


「……は?」


「1stの白虎」


「最後、ほとんどたにしちゃん目的で集まってたじゃん」


「知らんし」


「知らなくないし」


 お豆ちゃんは笑う。


「カリスマともちょっと違うんだけどさぁ。一緒に居るとなんか起こりそう。みたいなね」


「“たにし生きてるなら行く”とかもあったねぇ」


 のんちゃんが懐かしそうに笑う。


「うわぁ……」


 たにしが露骨に嫌そうな顔をする。


 ドラちゃんも苦笑した。


「実際そうだったんすよねぇ。癖強いの多かったっすけど」


「白虎最後まで崩れなかった理由、たにしさんの周りに集まった人の影響デカかったっすよ」


「ドラちゃんもだいぶ癖強いわ」


「どっちもどっちだ」


 たくろーが呆れたようにコーヒーを飲む。


「たくろーさんもだいぶだけどね?私はマトモだけど」


 のんちゃんが、ですよね?って顔で言う。


「それはないっす」


「ないわぁ」


「ないな」


「ひどっ!癖強三兄弟ひどっ!」


 少し笑いが起きる。


 その空気の中。


 カエデが静かに口を開いた。


「……姉様は」


「今でも中央を諦めていません」


 静かな声だった。


「1stで負け」


「2ndでも届かず」


「それでも、まだ見てます」


「中央を」


 お豆ちゃんは何も言わない。


 ただ、笑みだけが消えていた。


「なんでそこまで拘るんだよ」


 たにしが聞く。


「あんな眉唾ものの、中央制覇報酬がそんなに欲しいか?」


「違うよ」


 即答だった。


 お豆ちゃんは窓の外を見る。


 ルノア村。


 畑。


 煙。


 穏やかな朝。


「……見ちゃったからかなぁ」


「……」


「中央の王の間」


「あと少しだったんだよ」


 静かな声だった。


「あと少しで玉座まで行けた」


「あと少しで届いた」


「だから」


 お豆ちゃんは笑った。


 でも。


 少しだけ寂しそうだった。


「終われないんだよね」


 静かだった。


 その言葉だけで。


 1stを知る三人には十分だった。


 れんかが珍しく黙っている。


 ひーちゃも静かにお茶を置いた。


「……でも俺はやらんぞ」


 たにしが言う。


「お前が諦めなくても」


「俺はもういい」


「中央より、この村の晩飯の方が大事だ」


「そこ比較対象なんだ……」


 ソニアが小さく呟く。


「飯は大事だろ」


「それはそうですねぇ」


 ひーちゃがふわりと笑う。


「今日もあっくん、朝からパン焼いてたし」


「なんか肉煮込んでたよねぇ。つまみ食いしようとしたら追い出されたけど」


 のんちゃんも笑う。


「完成前のものは出せない」


 あっくんが、真剣な眼差しで言う。


「頑固オヤジのラーメン屋感ぱねぇっすね」


 ドラちゃんが感心する。


「朝ごはん美味しかった」


 れんかが普通に言う。


「お前さっき三回おかわりしてたもんな」


「成長期」


「便利な言葉だな」


 また少し笑いが起きる。


 お豆ちゃんは、そんな空気を静かに見ていた。


 暖かい食卓。


 穏やかな村。


 戦争から遠い時間。


 それを見て。


「……そーいうとこなんだよなぁ」


 ぽつりと呟く。


「何がだよ」


「たにしちゃんが王様向いてるとこ」


「向いてねぇわ。めんどくさい」


 即答。


「そして私が王妃」


 お豆ちゃんが、バチコーンとウインクする。


「うん。無理。ごめん!それは無理!いい友達…も、ちょっと無理かもだけど!」


 たにしがのんちゃんの脊髄反射を越える勢いで即答した。


 お豆ちゃんは、

まだ諦めていなかった。

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