第46話 らぶちっち
二章
第46話 らぶちっち
カン。
最後の音だった。
「……よし」
たくろーが、
ゆっくり息を吐く。
東の橋。
最後の板が、
今、はめ込まれた。
◇
「できたぁぁぁぁぁ!!」
スズが叫ぶ。
万歳。
ぴょんぴょん跳ねている。
「完成です!!」
「うおぉぉぉぉ!!」
半裸達も歓声を上げた。
拍手。
指笛。
何故か泣いてるモヒカン。
「長かったっすねぇ……」
若頭がしみじみ言う。
「お前は主に流されてただけだろ」
「計26回っす」
「色々タフだな」
◇
「……ほんとに繋がったな」
たくろーが橋を見る。
木の橋。
頑丈な橋脚。
東の激流を跨ぐ、
一本の道。
最初は崩落していた。
でも今は。
ちゃんと橋になっていた。
◇
「渡ってみます!!」
スズが真っ先に飛び出す。
「おい待て」
ダダダダダッ!!
「完成直後に全力疾走すんな!!」
「大丈夫です!!」
ミシッ。
「止まれぇ!!」
一瞬全員固まった。
しかし。
橋は耐えた。
「……セーフ!!」
スズが笑顔で振り返る。
「寿命縮んだわ……」
たくろーが頭を抱える。
◇
「おぉ〜」
のんちゃんが橋を歩く。
「景色いいねぇ」
橋の中央。
見えるのは、
東の森。
流れる川。
遠くの山。
風が抜ける。
「なんかほんと、遠くまで行けそう」
のんちゃんが笑う。
◇
「姐さん!!」
若頭も橋へ来る。
「見てください!!俺等の橋っす!!」
「お前もちゃんと働いたもんねぇ」
「流されましたけどね!!」
「26回もな」
たくろーが真顔で言う。
「歴代最多記録っす!!」
「殿堂入りはお前だけでいいわ」
◇
「たくろーさん!!」
スズが走って戻ってくる。
「橋!!」
「ああ」
たくろーが微笑む。
「完成しましたね!!」
「おつかれさま」
スズは、少しだけ黙って。
「はい!おつかれさまです!そして……ありがとうございます!!」
「ん?」
「すごい勉強になりました!!」
珍しく、少しだけ真面目な顔だった。
たくろーは頭を掻く。
「いやまぁ、俺も学ぶこと多かったし、こちらこそありがとう」
「そっか、えへへ……」
嬉しそうだった。
その横で。
「初めての共同作業だねぇ」
のんちゃんがニヤニヤしていた。
「言い方な?」
「あ、橋の名前。考えといたわ」
と、あいりとこはるを連れて、橋を一回りしてきたたにしが言う。
「ろくな予感しないな」
たくろーが一気に疲れた顔になる
「はい、ちびっこ拍手!」
「ぱちぱちぱち!!」
「では!発表いたします!」
と、たにしが仰々しく言う。
「その名は!」
「スズと!」
「すずとっ!」
「たくろーの!」
「たくろーのっ!」
「愛の!」
「あいのっ!」
「架け橋!」
「かてはちっ!」
頑張れこはる。
「スズ、タクロー、ラブ、ブリッチ!を略して」
「りゃくして!」
「スズローラブリッチ!」
「らぶちっち!」
惜しいこはる。
子どもに何言わせてんのよ!とのんちゃん爆笑。
「よし、壊そう」
真顔でたくろーがハンマーを持ち出す。
それを、まんざらでもない顔をしていたスズが必死に止めていた。
「おーい!!」
向こう岸から村民達の声。
「渡れたぞー!!」
笑い声が響く。
「おーし!打ち上げすっぞー!」
そう返した、たにしの声に、また大きな歓声があがった。




