第42話 東の橋
二章
第42話 東の橋
カンカン。
ゴンッ。
ギギギギ……。
「そこ斜めです!!」
「うっす!!」
「その木材まだ切らないでください!!」
「うっす!!」
「そこ!!汚物を消毒しない!!」
「うっす!!」
「次やったら、天に還しますよ!!」
朝。
ルノア組。
今日も騒がしかった。
◇
「で?」
資材の上へ座りながら、
たくろーが聞く。
「今日はどうした?」
「東の橋に行きたいです!!」
スズが図面を広げた。
「あーそろそろやらないとだなぁ」
たくろーが少しだけ真面目な顔になる。
東の橋。
崩落したまま放置されている、
東ルート最大の障害。
今は川沿いを遠回りすれば渡れる。
だが。
交易。
運搬。
移動。
全部不便だった。
「市場も広がってますし!!」
スズが拳を握る。
「物流は命です!!」
「たにしくんはなんて?」
「好きにやってくれって!!」
「丸投げたか」
たくろーは苦笑いする。
◇
「というわけで現地視察です!!」
スズが元気よく言った。
「橋の測量!!」
「強度確認!!」
「設計!!」
「あと景観!!」
「最後絶対入るな」
たくろーが苦笑する。
そこへ。
「おー、行くんだ?」
のんちゃんだった。
干し肉を齧っている。
「姐さんも行くんすか?」
「暇だしねぇ」
「観光気分すぎ」
たくろーが笑う。
「もう西じゃ刺激ないんだよねぇ。山賊砦も落としちゃったし」
「コンビニ行く感覚で落としてくるなよ」
たくろーの笑顔が苦笑いにかわる。
「モヒも来い」
「うっす!」
「荷物持ち兼、人柱で」
「心の支えにもなれるっす!」
「いや、それはいいわ」
◇
東の森。
木漏れ日。
川音。
以前より、
かなり歩きやすかった。
「道出来てんな」
「ルノア組が整備しました!!」
スズが誇らしげに言う。
「最近、伐採楽しいっす!」
「もう林業なんよ」
若頭の後ろでは、半裸達が丸太を転がしていた。
「姐さん!!見てください!!」
モヒカンが叫ぶ。
「俺、木を綺麗に切れるようになったっす!!」
「成長したねぇ」
「山賊の成長方向性どうなってんだ」
◇
しばらく進み。
「……おぉ」
たくろーが止まる。
東の橋。
以前見た時より、改めて見ると酷く見えた。
中央部分が完全崩落。
橋脚も歪んでいる。
下。
激流。
川幅も広い。
「これ普通に大工事っすね……」
若頭が引く。
「ですね!!」
対して。
スズの目は輝いていた。
「燃えます!!」
「職人怖ぇ」
◇
たくろーは、
既に橋周辺を見ていた。
土台。
流れ。
石。
高さ。
「橋脚二本死んでますね!!」
「土台から組み直しか?」
「組み直しですね!!」
「嬉しそうすぎるだろ」
「たくろーさんと初めての共同作業ですし!」
「誤解を招く言い方するな」
無言でニヤニヤするのんちゃん。楽しそう。
◇
「でも」
スズが、
橋の向こうを見る。
東。
さらに奥へ続く森。
「これ繋がったら、もっと人来ますよね!!」
「交易も増えるだろうな」
たくろーも頷く。
「市場も広がるかもねぇ」
のんちゃんが笑う。
「夢広がるっす!!」
その時。
「橋の名前どうします!?」
スズが突然言った。
「まだ作ってねぇだろ」
「大事です!!」
「そんなもんかね」
◇
「たくろーとスズの愛の架け橋でいいじゃん?」
「のんちゃん、最近、たにしくんみたいだぞ?」
「え、ホント無理なんだけど、やめて?」
「じゃぁ!姐さんブリッジ!!」
「お前も、センス壊滅的だな」
と、真剣な顔の若頭を見て、たくろーが笑う。
「……まぁ」
たくろーが、
壊れた橋を見る。
「完成してから考えるか」
その言葉に。
みんなが少し笑った。
壊れた橋。
激流。
大工事。
今日は暑くなりそうだ。




