第35話 労働は尊い
二章
第35話 労働は尊い
ガンッ!!
ゴンゴンゴンッ!!
「そこ斜めです!!!」
「うっす!!」
「その柱まだ抜かないでください!!」
「うっす!!」
「景観を損ねます!」
「うっす!!」
「安全性とかではないんだ」
翌朝。
たにしは、
村外れで廃材に座ってた。
目の前。
山賊宿舎。
……だったもの。
現在。
解体されていた。
「んで?なにすんの?」
「改築です!!」
スズが元気よく答えた。
頭はヘルメット。
ニッカポッカの様なズボン。
首にはタオル。
完全に現場監督だった。古いタイプの。
◇
「うん、聞いてないな」
「言ってないので!!のんちゃんさんには言いました!」
「おまいらNPCだよな?上を選ぶな?」
たにしが見上げる。
元々廃墟のようではあったが、現在、壁が半分消えている。
若頭が木材を運び。
アフロが釘を打ち。
スキンヘッドが何故か測量していた。
「なんで普通に工事始まってんの」
「景観が終わってたので!!」
「景観への圧が強い」
その時。
たくろーが、
資材を抱えて現れる。
「たくろーさぁぁぁん!」
ハートを出すな。
「お前も参加してんの?」
「図面引いた」
「本格的」
たくろーは、
広げた紙を見せた。
「一階を鍛冶場と作業場」
「ほう」
「二階を事務所兼住居。それより上を山賊の宿舎」
「大手ゼネコンでも始めんの?」
「大体あってます!」
合ってんのかよ。そしてゼネコン伝わるのかよ。
◇
「つかこいつら」
たにしが山賊を見ながら言う。
「だいぶ働いてんな」
「あー」
スズが頷く。
「のんちゃんさんに許可もらいました!!」
「姐さん許可済みっす!」
若頭が元気よく答えた。
「“暇なら働け”って!!」
「言いそう」
たにしが遠い目をする。
その時。
「おーやってるねぇ。よきよき。」
のんちゃんだった。
「お前なぁ」
「いやだっていっぱいるし」
「人材扱いなんだ」
「筋肉あるし便利だよ?」
モヒカンが木材を担ぎながら頷く。
「最近、
筋トレ以外の役目増えて嬉しいっす!」
「社会復帰成功してる……」
◇
「ここをですね!!」
スズが図面を広げる。
「鍛冶場兼!!」
「公共工事建築事務所にします!!」
「急にキッパリ言ったな」
「橋!!」
「井戸!!」
「柵!!」
「道!!」
「あと景観!!」
「最後だけ思想強い」
だが。
実際。
必要ではあった。
今のルノア村。
作るものが多すぎる。
つまり。
「専門部署必要なんだよなぁ……」
たにしが少し感心する。
その時。
「おやっさーん!」
若頭が叫ぶ。
誰がおやっさんだ。
「釘足りねぇっす!!」
「知らんわ。材料屋扱いすんな。」
「違うんすかっ!?」
「しばくぞっ」
騒がしかった。
◇
昼。
「昼ごはんだよー」
あっくんが鍋を持ってきた。
「うおぉぉぉ!!」
歓声。
「完全に工事現場だな……」
「現場です!!」
スズが即答する。
そこへ、たくろーが、
うるしを塗ったような板を持ってきた。
「ん?」
「一応、名前いるだろ」
「おぉ」
スズが目を輝かせる。
「看板出来たんですか!?」
たくろーは、
少し嫌そうな顔をした。
「いや……まぁ…俺は反対したんだぞ?」
「?」
たにしが訝しむ中、スズの手で看板が立てられる。
【ルノア組】
沈黙。
「……」
「……」
「……」
「なんか」
たにしが呟く。
「いよいよ危ない組織感出てきたな」
「姐さん!!俺等の組できました!!」
「やっぱそうなるよなぁ!?」
遠くで、
のんちゃんの爆笑が響いていた。
やっぱりお前の仕業か。




