第34話 歓迎会
二章
第34話 歓迎会
「というわけで!!」
夕方。
村長宅前。
たにしが、
何故か壇上っぽい木箱へ乗っていた。
「本日は!
ルノア村新メンバー!」
バッ!!
「スズの歓迎会を開催しまぁす!!」
「わー!!」
「おー!」
「ぱちぱちー!」
拍手。
「やけに張り切ってるね」
れんかが真顔で聞く。
「バーベキューはロマンだ!」
「歓迎の意はないんだ」
「あ、あるわ!」
開始数秒で刺された。
◇
「すごぉぉぉい!!」
スズが目を輝かせる。
料理。
灯り。
飲み物。
今日はかなり豪華だった。
「気合い入ってんな」
たくろーが周囲を見る。
「歓迎会だから」
あっくんが満足した顔で言う。
確かに、料理は凄かった。
肉。
スープ。
焼き魚。
パン。
デザート。
謎にオシャレな前菜。
「なんか店みたい」
「練習」
「開業欲が隠れてないな」
その横。
「これルークさん作です!!お祝いです!」
ソニアが椅子を指さす。
「座り心地良い!!」
「ふふ」
ルークが少し誇らしげだった。
「布と木材の比率をですね――」
「始まった」
たにしが察する。
「この背もたれの曲線、素晴らしいです!!」
「分かりますか」
「愛と労いを感じます!!」
「君、才能ありますね」
いいから早く座れ。
◇
「スズちゃーん!」
あいりが駆け寄る。
「みて!みて!」
絵だった。
「おぉー!!」
「これは?」
「ぼうけん!」
描かれていたのは。
半裸モヒカン。
干した果物。
お金。
ねずみ色の何かしら。
謎の宝箱。
「情報量多いなっ」
たにしがつぶやく。
「芸術っす!!」
スズは本気で感動していた。
「これは展示するべきです!!」
「やめろ。山賊が芸術扱いされ始める」
◇
「いやぁ、
賑やかになったねぇ」
のんちゃんが一息ついたように、たにしの前に座る。
「まぁなぁ。そいやさ、聞こうと思ってたんだけどさ」
「なにー?」
のんちゃんが、うまそっとドライフルーツのデザートを取りながら言う。
「山賊連中増えてね?」
「あー増えてるかも?」
「だよな」
「いや、あいつらさぁ定期的に湧いてくんのよねー。襲って来る前に反射で射っちゃうけど」
「で、服従させてると」
「そんなめんどくさいことしないし」
「ただ…」
と、のんちゃんが次の獲物を物色しながら言う。
「そういう時に村に戻ると、モヒカンが“姐さん!構成員増えたっす!お勤めご苦労さまです!”って言ってくるねぇ」
「…もう、お前、なんかしらの組織の長なんじゃねぇか?」
「知らんけど、かもね?この前、れんかが“お嬢!”って呼ばれてすごい嫌な顔してたわ」
まぁ気になるなら、モヒカンに聞いてみてと笑う。
まずお前が気になれよ。
そこに、両手の皿に何かしらを山盛りにしたスズが通りがかり、ふと立ち止まる。
「……」
「ん?」
スズは、
机を触った。
ガタ。
「これ危ないです!!」
「あん?」
「脚ズレてます!!」
突然だった。
「え、今?」
「今です!!」
ガバッ!!
スズが工具箱を開く。
「歓迎会中だぞ?」
「だからです!!」
「なにが!?」
数秒後。
カンカン。
カンカン。
「うわ、
ほんとに直し始めた」
たくろーが苦笑する。
「職業病だねぇ」
ひーちゃも笑う。
「完成です!!」
ガシッ。
机が安定する。
「おぉー」
自然と拍手が起きた。
スズは少し照れくさそうに笑う。
「壊れる前に直せ!!です!」
ちゃんと師匠の教え染みてんじゃん。とたにしも微笑む。
◇
コンロの方では
「おかわりっす!!」
若頭が騒いでいた。
「食べるなぁ……」
あっくんが少し引く。
「筋肉は燃費悪いんすよ!」
「いっぱい食べてもらえるのは嬉しい」
そこに、ひと仕事終えた顔のスズが追加を取りに来る。
「あ、モヒカンさん!」
スズが、若頭に声をかける。
「お初っす!よろしくっす!」
「よろしくです!!あと、あそこに住むんで建て替えるんでよろしくです!」
スズは、山賊宿舎を指さしながら言う。
「はい?」
「のんちゃんさんはいいって言ってました!」
「姐さんが…!?」
「まず!景観からです!」
うっす…と若頭が食欲なくした顔になる。
「景観警察だ」
と、それを遠目に見ていたれんかが呟いた。
◇
夜。
宴会も終わり始め。
みんな少しずつ片付け始めていた。
「ふぃ〜……」
たにしが椅子へ座る。
「食った食ったぁ」
「オッサンくさっ」
のんちゃんが笑う。
少し前まで。
何もなかった村。
でも今は違う。
温かい料理がある。
柔らかいベットもある。
まだまだ足りないものも問題もあるけど。
何より
笑顔がある。
「……なんか」
スズが、
ぽつりと呟いた。
「ここやっぱ好きっす」
声の大きいスズにしては、静かな声だった。
でも。
ルノア村のみんなには、
ちゃんと聞こえていた。




