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オフ会してたら異世界に飛ばされたのでゲーム脳で生き抜いてみる  作者: 元 智
とりま生きる

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 第2話 これのチュートリアル長いよな

一章

 第2話 これのチュートリアル長いよな


 パチパチと焚き火が鳴る。


 木の串に刺さった肉から、

じゅわりと脂が落ちた。


「おー、いい匂い」


 たくろーが鼻をひくつかせる。


「西の森の野ウサギ、ちゃんとドロップしたね」


 のんちゃんが鍋を混ぜながら言った。


「ドロップって言うな。現実味なくなる」


「でも見た目ほぼゲームだったじゃん」


「まぁそうだけど」


「食おうとしてる時点でみんな同罪でチャレンジャーだわ」


 たにしは木箱を椅子代わりにしながら周囲を見る。


 始まりの村ルノア。


 ゲームで何百回も見た景色。


 だが、

実際に立ってみると全然違った。


 風の匂い。


 焚き火の熱。


 夜の冷たさ。


 全部が妙にリアルだった。


「あっくん、その草なんだった?」


 のんちゃんが聞く。


「……香草」


「食える?」


「多分」


「“多分”で入れたの?」


「ゲームだとバフついてた」


「ゲーム基準怖ぇよ」


 たにしが呆れる。


 すると、

あいりが目を輝かせた。


「でもおいしいよ!」


「ほんと?」


「うん!」


「ならヨシ!」


「雑!」


 また笑いが起きた。


 少しだけ、

空気が軽くなる。


 こはるは既に眠そうにひーちゃへ寄りかかっていた。


「ねむい……」


「食べたら寝ようねぇ」


 ひーちゃが優しく頭を撫でる。


 その様子を見ながら、

たにしはぽつりと言った。


「……で、どうすっかねぇこれから」


 空気が少し静まる。


 たくろーが串肉を回しながら言う。


「まぁまず情報整理じゃね?」


「だな」


 のんちゃんが鍋を配りながら頷く。


「この世界、多分《ワールド オン ワールドオンライン》で間違いないよね」


「村の名前も一緒だったしな」


「あっくん、ステータス見れた?」


「あー……見れる」


「マジで?」


 あっくんが空中を指で払う。


 すると、

青白い半透明の画面が浮かんだ。


「うおっ!?」


 たにしがのけぞる。


「うわほんとにUIあるんだ」


「ログイン勢すぎるだろお前ら。やってみろっつの」


「すげー」


 のんちゃんは普通に覗き込んでいた。


「レベル1。所持金ゼロ。職業そのままかぁ」


「俺タンクじゃん……」


 たくろーが嫌そうな顔をする。


「前出ろおっさん」


「あっくんが行くよね若者」


「やだ」


「即答!?」


 また笑いが起きる。


 でも、

次の瞬間。


 のんちゃんの表情が少し真面目になった。


「……このゲームさ」


「ん?」


「元々、“村を育てるゲーム”だったじゃん」


 たにしも思い出す。


 ワールド オン ワールドオンライン。


 普通のMMORPGとは少し違う。


 プレイヤーは冒険者でありながら、

各地の村や街を発展させる役割を持っていた。


 素材を集める。


 店を作る。


 人を呼ぶ。


 施設を増やす。


 そうやって、

“世界そのもの”を育てていくゲーム。


「ルノアって、最初プレイヤー一人もいないクソ田舎だったよな」


「言い方」


「事実だろ」


「まぁ事実」


 たくろーが笑う。


「プレイヤー増えると宿屋とか鍛冶屋とか出来てくやつな」


「イベントで人口増えたりね」


「懐かしいなぁ」


 たにしは周囲を見る。


 暗い村。


 少ない家。


 人の気配もほとんどない。


 まるで、

サービス開始直後みたいだった。


「……なぁ」


 たにしが呟く。


「もしかしてこれ」


「ん?」


「俺らでまた、この村発展させろってことか?」


 沈黙。


 風が吹く。


 遠くで、

見たこともない鳥が鳴いた。


 その時だった。


 村の中央。


 黒い石碑が、

淡く光り始める。


「……おい」


 あっくんが立ち上がる。


 全員の視線が集まった。


 石碑の上に、

青白い文字が浮かぶ。


【チュートリアルを開始します】


「うわぁ……」


 たにしは頭を抱えた。


「始まっちまった……このチュートリアル長いんだよなぁ」

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