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オフ会してたら異世界に飛ばされたのでゲーム脳で生き抜いてみる  作者: 元 智
とりま生きる

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 第17話 交易契約

一章

 第17話 交易契約


「というわけで」


 ベルクが胸を張った。


「本日は正式な交易契約のお話です」


「急にちゃんと商人っぽい」


 たにしが言う。


 村の広場。


 ベルクの荷車には、

いつもより多く荷物が積まれていた。


 布。


 樽。


 箱。


 あと何故か高そうな絨毯。


「今回ちょっと本気だな」


 たくろーが呟く。


「正式契約ですから」


 ベルクは笑った。


「ルノア村、かなり評判いいんですよ」


「どこで?」


「行商人ネットワークですね」


「なんだその謎組織」


「怖っ」


 のんちゃんが引く。


 ベルクは咳払いした。


「まぁ、とにかく」


 スッ――。


 紙を広げる。


「定期交易契約を結ぶと」


「うん」


「一定周期で私が物資を運びます」


「おぉ」


「塩、布、工具、鉄材、種、日用品」


「ありがてぇ」


 たにしが素直に頷く。


 今のルノアに、

外部流通はかなり重要だった。


 自給自足だけでは限界がある。


「代わりに」


 ベルクが指を立てた。


「最低限の安全確保をお願いします」


「山賊とか?」


「えぇ」


「こいつらまだ悪さしてんの?」


のんちゃんが睨む。


「してないっす!してないっす!姐さんの愛の一撃で目覚めたっす!」


「愛とかないし。もう一回撃つよ?」


「え…お願いしても…」


「きんも!」


「お前らちょっと黙れ」


「いや、その人達と別のが湧くと言いますか…出なくする方法もあるんですが、それはまた追々…。それに普通に害獣もいますし」


「なるほど、リポップってことね。山賊砦攻略すると近隣には出なくなるみたいな設定あったな」


「NPCと普通に設定の話するなよ。そいつも困るだろ」


たくろーが苦笑して言う。


ベルクも苦笑して小さく頭を下げる。


「あと、交易路維持ですね」


「街道整備とかも必要になるのか」


「村が発展すれば自然と」


 ベルクは頷く。


「つまり」


 たにしが腕を組む。


「ちゃんと“村”扱いされ始めたってことか」


「そういうことです」


 少しだけ。


 空気が変わった。


 ルノアはもう、

ただの初期村じゃない。


 人が住み。


 飯を食い。


 風呂に入り。


 働き。


 生活している。


 ちゃんとした“村”になり始めていた。


 ◇


「で、契約特典がこちらです」


 ベルクが箱を開ける。


「ん?」


 中には、

小さな革袋が並んでいた。


「袋?」


 のんちゃんが持ち上げる。


「軽っ」


「アイテムバッグです」


 空気が止まる。


「うわ出た」


「異世界定番」


 たにしが反応する。


 ベルクは得意げだった。


「初期冒険者向けですがね」


「どれくらい入るん?」


「木箱一個分くらいです」


「地味にすごいな」


 たくろーが感心する。


 ベルクは説明を続けた。


「取得したドロップ品、個人報酬、Gなどは自動収納されます」


「うわ便利」


「あと重量軽減も少し」


「便利ファンタジーきた」


 たにしが呟く。


 その横で。


「おぉー!」


 あいりが早速バッグへ顔を突っ込んでいた。


「何か入ってる?」


「いや空だろ」


「夢は入ってる」


「詩人だな?」


 たにしが苦笑いする。


 その時。


 あっくんが、

静かにバッグへ干し肉を入れた。


 すっ。


 消える。


「おぉ」


「ほんとに入った」


 さらに。


 あっくんが手を突っ込む。


 すっ。


 干し肉が出てきた。


「すげぇ」


「便利」


「料理人が一番恩恵デカそう」


「それには、時間停止とか腐敗防止機能などはありませんのでお気をつけください」


「学校の机の中からカビた給食のパンが出てくるみたいなことがありえるのか」


「例えが小学生男子だな」


「まぁでもこれで、狩りにデカい袋持っていかなくていいし、謎に散らばる小銭拾わなくていいってことよね」


「神アイテム」


のんちゃんと、れんかが切実に言う。


 ◇


 契約書へ、

たにしが手を置く。


【定期交易契約を締結しますか?】


「……まぁ」


 たにしはベルクを見る。


「これからも頼むわ」


 ベルクは笑った。


「えぇ。良い村ですから」


 その瞬間。


【定期交易ルートが開通しました】


【商人NPCの来訪率が上昇しました】


【アイテムバッグ機能が解放されました】


【村経済が発展段階へ移行します】


「最後なんか怖いな」


 たにしが呟く。


 だが。


 その横で、

ベルクは嬉しそうに村を見ていた。


「賑やかになりますよ」


 その言葉通り。


 ルノア村は、

少しずつ。


 本当に少しずつ。


 “世界の中の村”になり始めていた。

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