第15話 家具職人とセンス戦争
一章
第15話 家具職人とセンス戦争
「狭っ」
それが第一声だった。
「帰れ」
たにしが即答する。
村長宅リビング。
そこへ現れたのは、
ベルクが連れてきた家具職人NPCだった。
細身。
長髪。
無駄に洒落たベスト。
そして、
入ってきた瞬間、
部屋を見回して顔をしかめた。
「いや広さじゃなくて“空気”が」
「空気?」
「虚無です」
「言い方ぁ!」
男は胸へ手を当てた。
「私、家具職人ルークと申します」
「よろしく」
「で、虚無って?」
のんちゃんが聞く。
ルークは真顔だった。
「生活感がない」
「まぁ家具ないし」
「違います」
スッ――。
ルークが窓を指差す。
「カーテンがない」
「カーテン?」
「光が硬い」
「なんだこいつ」
さらに壁。
「色味が寂しい」
「木だけだしな」
「あと床」
「床?」
「座る前提なのにラグがない」
「ラグ?」
「尻が痛い」
「そこは分かる」
たくろーが頷いた。
ルークは深く息を吐く。
「……本当に、ここに人が住んでるんですか?」
「急に核心刺すな」
たにしがダメージを受ける。
だがその時。
「これ!」
あいりだった。
紙を持っている。
「ん?」
ルークが受け取る。
そこには、
クソデカいハナの絵が描かれていた。
丸い。
やたら丸い。
あと何故かキラキラしている。
「……」
「……」
「どう?」
あいりが聞く。
ルークは静かに震えた。
「素晴らしい」
「マジで?」
たにしが驚く。
「感性があります」
「えへへー」
あいりが嬉しそうに笑う。
「このデフォルメ……愛があります……」
「急にオタクみたいになった」
のんちゃんが引く。
だが、
ルークは本気だった。
「芸術です」
「そこまで?」
「少なくとも村長よりセンスあります」
「初対面で殴ってくるタイプ!?」
その時。
ハナが、
ぽてぽてルークへ近寄った。
「おぉ……」
ルークがしゃがむ。
ハナは警戒しなかった。
そのまま、
膝へ乗る。
「っ……!」
「落ちたね」
れんかが即答する。
ルークは真顔だった。
「この村、最高ですね」
「早ぇよ」
たにしがツッコむ。
その時。
【家具職人ルークが村へ興味を示しています】
「うわ出た」
「また増える?」
たにしが嫌そうな顔をする。
だが。
ルークはリビングを見回し、
静かに言った。
「……この村、未完成なのが良い」
「ん?」
「だから“作りがい”がある」
空気が少し静まる。
その時。
たくろーが小さく笑った。
「職人って感じだな」
「分かる」
あっくんも頷く。
ルークは、
ハナを抱えながら言った。
「任せてください」
「この虚無空間、最高の家にします」
「言い方なんとかならん?」




