第14話 ハナ
一章
第14話 ハナ
「で、結局なんなんだこいつ」
村長宅のリビング。
――家具はまだない。
なので全員、床座りだった。
白いモコモコは、
そんな事気にせずこはるの膝で丸くなっている。
「かわいー」
あいりが耳を触る。
ぴこぴこ動いた。
「犬……ではないよねぇ」
ひーちゃが苦笑する。
顔は少し犬っぽい。
でも耳が長い。
尻尾はふわふわ。
あと足が妙に短い。
「なんか全部丸い」
のんちゃんが言う。
「ぬいぐるみ感ある」
その時。
「ほっほっほ」
「うわ出た」
ジージだった。
普通に勝手に入ってきた。
「なんじゃ、ワタゲモドキか」
「名前判明した」
たにしが反応する。
「知ってんの?」
ジージはモコモコを見る。
「昔はこの辺にもようけおった」
「昔?」
「今は滅多に見んのぉ」
こはるの膝の上で、
ワタゲモドキはのんびり尻尾を振っている。
「害はないん?」
たくろーが聞く。
「むしろ益獣じゃよ」
「益獣?」
「大地の加護持ちじゃ」
空気が少し変わる。
「おぉ、なんか凄そう」
「畑が育ちやすくなったり、
土地が痩せにくくなったりする程度じゃがな」
「急に地味」
「でも普通にありがたくない?」
のんちゃんが言う。
ジージは頷く。
「本来は、人が増え始めた村なんぞに住み着く」
「へぇ」
「幸運を運ぶ獣とも言われとった」
「じゃあラッキーイベント?」
「かもしれんなぁ」
だが、
ジージは少しだけ寂しそうに笑った。
「ただまぁ、乱獲されてしもうてな」
空気が静まる。
「毛が高ぅ売れたんじゃよ」
「うわぁ……」
たにしが顔をしかめる。
「あと弱いからのぉ」
「天敵多いんだ」
「逃げ足もそこまでじゃし」
その時。
ワタゲモドキが、
こはるの腕へ頭を擦りつけた。
「えへへ」
こはるが嬉しそうに笑う。
「なついてるねぇ」
ひーちゃも表情を緩めた。
すると。
【友好度条件を達成しました】
【ワタゲモドキを村へ迎え入れますか?】
「うわ出た」
「便利UI」
たにしが呟く。
「どうする?」
のんちゃんが聞く。
「飼うー!」
即答だった。
「まぁそうなるよね」
れんかが言う。
「名前つける?」
あいりが聞くと、
こはるはモコモコを見つめた。
「んー……」
白い。
ふわふわ。
たんぽぽみたいだった。
「たんぽぽ?」
ひーちゃが優しく聞く。
だが。
こはるは首を振った。
「ハナ!」
「花?」
「おはなみたいだから!」
「範囲デカっ」
たにしがツッコむ。
「たんぽぽとかじゃないんだ」
「おはな!」
「まぁこはるらしい」
のんちゃんが笑う。
その瞬間。
【ワタゲモドキ“ハナ”が村へ加わりました】
【村の自然補正が上昇しました】
【畑成長速度 微増】
【村人癒し効果 微増】
「癒し効果?」
「なんだそれ」
たくろーが呟く。
その時。
ハナが、
ぽてぽて歩いて、
たにしの足へ寄ってきた。
そして。
ぽふ。
足へもたれかかった。
「……」
「……」
「……かわいいなこいつ」
「落ちた」
れんかが即答する。
「早かったねぇ」
「いやこれは無理だろ」
たにしは真顔だった。
その時。
ハナが、
ふぁ……と小さく欠伸をした。
「競争させるのはやめとこう」
「ギャン中を厚生してしてしまうとは…すごいな…」
「ある意味強い」
今日もルノア村は平和だった。




