第93話 準決勝 第一試合
第四章
第93話 準決勝 第一試合
午後。
白虎闘技場。
歓声。
拍手。
熱気。
準決勝。
虎牙市チーム。
対。
ルノアチーム。
本日の最終戦がいよいよ始まろうとしていた。
◇
中央舞台。
司会が声を張る。
「準決勝!!」
歓声。
「第一試合!!」
さらに歓声。
「一対一!!」
会場が沸く。
◇
ルノアベンチ。
「れんか」
たくろーが呼ぶ。
「ん」
れんかが立ち上がる。
やる気は無い。
いつも通りだった。
「負けるなよ」
たにし。
「負けたら帰る」
れんか。
「れんかが負けたら、あいりとこはるに無理させることになるな」
たくろー素知らぬ顔で言う。
「大人って汚い」
れんかが少しだけ嫌そうな顔をした。
◇
「ルノアチーム代表!!」
司会が叫ぶ。
「氷炎の黒猫!!」
歓声。
「れんか!!」
拍手。
歓声。
れんかは面倒そうに舞台へ上がる。
若頭達も当然騒いでいた。
「れんかお嬢ぉぉぉぉ!!」
「いてこましたれぇぇぇぇ!!」
「無慈悲モードだぁぁぁ!!」
うるさい。
れんかは聞こえないフリをした。
◇
対する虎牙ベンチ。
ドラちゃんが肩を竦める。
「頑張れよ」
「言われなくてもですわ」
少女が立ち上がった。
赤と青。
左右で色の違う長い髪。
細身。
魔術師服。
杖。
そして。
妙に気合いが入っていた。
◇
「虎牙市チーム代表!!」
司会が叫ぶ。
歓声。
「炎と氷を操る天才魔術師!!」
歓声。
「前期魔法学園首席卒業!!」
さらに歓声。
「カヌレ!!」
大歓声。
◇
カヌレは優雅に一礼する。
その姿に観客席から歓声が飛ぶ。
美少女だった。
かなり。
そのまま舞台中央へ歩く。
そして。
れんかを見る。
数年越し。
ついに。
ついに。
この時が来た。
◇
「お久しぶりですわ」
笑顔。
自信満々。
れんかを見る。
れんかも見る。
数秒。
沈黙。
◇
「だれ?」
れんか。
◇
カヌレ固まる。
◇
「覚えてませんの?」
カヌレ。
「うん」
即答。
◇
静かになる。
◇
「うん?」
カヌレ。
「うん」
れんか。
◇
カヌレの笑顔が引きつる。
◇
「わたくしですわ!」
杖を指差す。
「カヌレですわ!!」
「魔法学園ですわ!!」
「同窓生ですわ!!」
◇
れんか。
少し考える。
本当に考える。
「だれ?」
◇
「あれ、マジなんだよねぇ。れんか興味ないこと全く覚えない」
相手が可哀想。とのんちゃん爆笑中。
◇
カヌレ。
衝撃。
「なっ!?」
◇
カヌレは震えていた。
怒り。
悲しみ。
悔しさ。
色々混ざっている。
◇
「わたくしは!」
声を張る。
「あなたが休学した後!」
「首席になりましたの!!」
◇
「そう」
れんか。
「そうって何ですの!?」
「あなたを超えるために!」
「必死に勉強して!」
「必死に魔法を学んで!」
「必死に努力して!」
「首席になりましたのよ!?」
れんか。
少し考える。
「偉いね」
「くっ!……くやしくありませんの!!」
「なにが?」
れんか、心底キョトン顔
◇
虎牙ベンチ。
ドラちゃんが顔を覆う。
「あー……」
知っていた。
こうなる事を。
「あの子挑発上手いっすね…」
虎牙メンバーの一人が感心する。
「ところが、あれが素なんだぜ?怖いだろ?」
ドラちゃんが苦笑する。
「カヌレがんばれ…」
メンバーの一人が小さく応援した。
◇
カヌレは杖を握る。
深呼吸。
落ち着け。
落ち着くのです。
目的を忘れてはいけませんわ。
そして。
改めて構える。
「今日こそ証明しますわ」
真剣な瞳。
炎と氷の魔力が揺れる。
「わたくしが!」
「あなたより上だと!!」
れんか。
「別にいいよ」
「良くありませんわ!!」
◇
レフェリーが手をあげる。
「準決勝!第一試合!」
「開始!!」
因縁の?対決が今始まる。




